平成28年度 第101回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 118

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問 118  正答率 : 70.8%

 国家試験問題

国家試験問題
抗体A及び酵素標識抗体Bを用いる酵素免疫測定法(ELISA, enzyme-linked immunosorbent assay)による生体由来タンパク質Xの定量キットの説明書に、以下のような測定原理を表す模式図があった。この図に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
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1 ①において、プレートに固定化した抗体Aは、測定対象となるタンパク質Xと共有結合を形成する。
2 ②で加えるタンパク質Xは、あらかじめ精製しておかなければ測定できない。
3 ③において、抗体Aと抗体Bは、タンパク質Xの異なる部位に結合する。
4 ③において、プレートの内面に抗体Bが結合するのを防ぐ必要がある。
5 ④において、標識酵素による反応生成物の量は、タンパク質Xの量とは反比例の関係にある。

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問 118    

 e-REC解説

解答 3、4

本問の模式図は、生体由来タンパク質Xを酵素免疫測定法(ELISA)により定量する測定原理を表しており、①〜④の手順の内容を以下に示す。
手順①:プレートの底面(固相)に抗体Aを固定化する。
手順②:固定化した抗体Aの可変部とタンパク質Xの抗原決定基(抗原エピトープ)を結合させる(この際の結合は、非共有結合)。
手順③:抗体Aに結合したタンパク質Xに、抗体B(酵素標識抗体)を結合させる。これにより、抗体Bに結合している酵素が活性化する。
手順④:酵素基質が、活性化した抗体Bの酵素により酵素反応生成物に変換される。

1 誤
プレートに固定化した抗体Aの可変部は、測定対象となるタンパク質Xと非共有結合により可逆的に結合する。

2 誤
抗原と抗体の結合は高い特異性があるため、タンパク質Xをあらかじめ精製しなくても測定はできる。しかし、タンパク質Xと類似構造を持つ別の物質が共存する場合には、交差反応が起こる可能性は否定できないため、交差反応が起こる可能性も考慮して操作を行なう必要はある。

3 正
ELISAは主にサンドイッチ法で行われる。通常、サンドイッチ法では目的抗原に特異的な2種類の抗体を用いること、また模式図から抗体Aと抗体Bは異なる抗体分子であることが予想できる。異なる抗体分子である抗体Aと抗体Bは可変部が異なり、タンパク質X上の異なる抗原決定基に結合する。したがって、サンドイッチ法によるELISAは、一般に複数の抗原決定基をもつ抗原の検出・定量に利用される。

4 正
サンドイッチ法によるELISAを行う場合、まずタンパク質がプラスチックに吸着しやすい性質を利用して、プラスチック製のプレート等を用いる。手順①で抗体Aをプレートに吸着させた際、抗体Aの付着しなかった部分には無関係なタンパク質を付着させる。これにより酵素標識抗体である抗体Bのプレートへの付着を阻止することができる。

5 誤
タンパク質Xの量が増加するとタンパク質Xに結合する抗体Bの量も増加する。したがって、プレート内の酵素量も増加する。そのため、酵素反応生成物も増加する。

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