平成27年度 第100回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 115

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問 115  正答率 : 57.9%

 国家試験問題

国家試験問題
マウスのある組織から目的のタンパク質を精製し、その性質を明らかにするため、以下の2つの実験を行った。実験方法と考察に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

【実験 1】 精製したタンパク質のジスルフィド結合を還元後、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)-ポリ アクリルアミドゲル電気泳動法を行った。ゲル中のタンパク質を染色すると、単一のバンドが観察され た。分子量が既知の 5 種類の標準タンパク質についても同様の操作を行い、図 1 の結果を得た。
スクリーンショット 2016-07-01 9.25.29.png
【実験2】精製したタンパク質を用いてゲルろ過クロマトグラフィーを行った。分子量が既知の6種類 の標準タンパク質についても同様の操作を行い、図 2 の結果を得た。
スクリーンショット 2016-07-01 9.25.42.png

1 【実験1】では、電気泳動の前に、精製したタンパク質試料にSDSと2-メルカプトエタノール(2-ME)を含む緩衝液を加えて加熱した。
2 【実験1】のタンパク質の染色には、臭化エチジウム(ethidium bromide)を用いた。
3 【実験2】では、カラムから溶出したタンパク質を検出するため、溶出液の260 nmにおける吸光度を連続的に測定した。
4 【実験1】の結果より、精製したタンパク質の単量体(モノマー)の分子量は、およそ25,000 Daと考えられる。
5 【実験1】及び【実験2】の結果より、精製したタンパク質は4量体(テトラマー)として存在すると考えられる。

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問 115    

 e-REC解説

解答 1、4

1 正
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)-ポリアクリルアミドゲル電気泳動では、電気泳動の前に、精製したタンパク質試料にドデシル硫酸ナトリウム(SDS)と2-メルカプトエタノール(2-ME)を含む緩衝液を加えて加熱する。
SDSは試料タンパク質を負に帯電させるために緩衝液に添加されており、また、2−MEはタンパク質間のジスルフィド結合を開裂し、タンパク質を変性させるために緩衝液に添加されている。

2 誤
タンパク質の染色方法には、銀染色又はクマシーブリリアントブルー(CBB)染色が用いられる。なお、臭化エチジウムは、DNAやRNAなどの核酸の染色に用いられる。

3 誤
溶出したタンパク質には、280 nm付近に吸収極大を有する芳香族アミノ酸が含まれていることから、タンパク質の検出するために、溶出液の280 nmにおける吸光度を測定する方法がある。なお、DNAは260 nm付近に吸収極大を有する。

4 正
【実験1】の結果を示す図1の横軸より、精製したタンパク質の単量体(モノマー)の分子量は、およそ25,000と考えられる。

5 誤
単量体の分子量は、およそ25,000であると考えられ(解説4参照)、【実験2】の結果を示す図2の横軸より、精製タンパク質の分子量は、およそ50,000であると考えられる。これらのことから、精製したタンパク質は2量体として存在していると考えられる。

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