平成28年度 第101回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 190

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問 190  正答率 : 56.2%

 国家試験問題

国家試験問題
55歳男性。進行下行結腸がん手術施行後、テガフール・ウラシル配合剤を内服していた。その後、脾転移、腹膜播種が認められ、FOLFOX+ベバシズマブ療法が開始された。12コース施行後、効果が不十分なため、FOLFIRI+パニツムマブ療法へ変更となった。このがん化学療法施行前に行う遺伝子検査はどれか。2つ選べ。

1 EGFR
2 KRAS
3 UGT1A1
4 B-Raf
5 Bcr-Abl

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問 190    

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解答 2、3

FOLFIRI(フルオロウラシル+レボホリナート+イリノテカン)+パニツムマブ療法施行前に行う遺伝子検査としては、イリノテカンを用いる際のUGT1A1遺伝子検査、パニツムマブを用いる際のKRAS遺伝子検査が挙げられる。

1 誤
上皮増殖因子受容体(EGFR)の遺伝子検査が必要な薬物としては、ゲフィチニブが挙げられる。ゲフィチニブは、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬であり、EGFR変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がんの治療に用いられるため、使用前には変異の有無を調べる必要がある。

2 正
KRAS遺伝子検査が必要な薬物としては、パニツムマブやセツキシマブが挙げられる。これらはKRAS野生型の結腸・直腸がんの治療に用いられるため、使用前には変異の有無を調べる必要がある。

3 正
UGT1A1の遺伝子検査が必要な薬物としては、イリノテカン塩酸塩水和物が挙げられる。イリノテカンは、生体内でSN-38に変換されてから抗悪性腫瘍作用を示し、そのSN-38は、主にUGT1A1によって代謝される。そのため、UGT1A1に変異があると、SN-38の代謝が遅延し、副作用が増強するおそれがあるため、使用前には変異の有無を調べる必要がある。

4 誤
B-Rafの遺伝子検査が必要な薬物としては、ベムラフェニブが挙げられる。ベムラフェニブは、B-Raf遺伝子変異陽性の根治切除不能な悪性黒色腫の治療に用いられるため、使用前には変異の有無を調べる必要がある。

5 誤
Bcr-Abl遺伝子検査が必要な薬物としては、イマチニブメシル酸塩やダサチニブ水和物などが挙げられる。Bcr-Abl遺伝子は、9番染色体と22番染色体の相互転座により形成されるキメラ遺伝子であり、これにより出現する染色体をフィラデルフィア染色体という。イマチニブやダサチニブは、フィラデルフィア染色体陽性となる慢性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病の治療に用いられるため、使用前には変異の有無を調べる必要がある。

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