平成28年度 第101回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 198,199

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問 198  正答率 : 48.7%
問 199  正答率 : 59.1%

 国家試験問題

国家試験問題
77歳女性。以下の処方箋を持って薬局を訪れた。患者の話から、最近、ものが飲み込みにくいとのことであった。
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問198(実務)
この処方に関する疑義照会として適切なのはどれか。1つ選べ。

1 簡易懸濁法で投与するよう提案する。
2 粉砕せず、そのまま舌下に含むことを提案する。
3 同用量のニフェジピンカプセルに変更し、脱カプセルして朝食後に舌下に含むことを提案する。
4 同用量のニフェジピンカプセルに変更し、脱カプセルしてゼリーなどに混ぜて朝食後に服用するよう提案する。
5 同用量のニフェジピンの持効性細粒に変更し、朝夕食後に分けて投与するよう提案する。


問199(物理・化学・生物)
今回処方されているニフェジピンは、血管拡張性の血圧降下薬である。ポアズイユの法則に従えば、脈拍数、心拍出量、血液の粘度が一定条件下で、血圧は末梢の毛細血管の半径の4乗に反比例する。この条件下で、ニフェジピンにより血圧180 mmHgの高血圧患者の毛細血管半径が7%増大したときの血圧(mmHg)に最も近い値はどれか。1つ選べ。

1 165
2 155
3 145
4 135
5 125

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問 198    
問 199    

 e-REC解説

問198 解答 5

1 誤
簡易懸濁法とは、錠剤やカプセルを粉砕・開封せず、そのまま約55℃の温湯に入れ崩壊懸濁させたあと、経管投与する方法である。徐放錠は徐々に薬物を放出するように設計された製剤であり、簡易懸濁法には適していない。

2 誤
本剤を舌下投与すると、速やかに吸収され、過度の降圧や反射性頻脈を来すことがあるため、本剤を舌下に含むことを提案することは不適切である。

3 誤
ニフェジピンカプセルには軟カプセル剤と硬カプセル剤がある。一般に軟カプセル剤の内容物は粘稠性のある液体のため脱カプセルしてはならない。ニフェジピンの硬カプセル剤の内容物は速溶性顆粒と遅溶性顆粒の混合物であるため脱カプセルには不向きである。よって脱カプセルして服用するよう提案することは不適切である。

4 誤
解説3参照

5 正
ニフェジピン持続性細粒は、1日2回食後に投与することで、効果が得られる製剤である。そのため、同用量のニフェジピンの持効性細粒に変更し、朝夕食後に分けて投与するよう提案することは適切である。


問199 解答 4

ポアズイユの法則とは、長く細い円筒管を通過する単位時間当たりの流体量Qと円筒管の半径r及び円筒管の入り口と出口における圧力差ΔPの関係を示す法則であり、①式で表される。

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①式を変換すると、ΔPは以下の②式で表される。

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②式より、単位時間当たりの流体量Q、液体の粘度ηが一定であれば、円筒管の入り口と出口における圧力差ΔPは円筒管の半径rの4乗に反比例するといえる。
本設問では、ポアズイユの法則に従い、脈拍数、心拍出量、血液の粘度が一定条件下で、血圧は末梢の毛細血管の半径の4乗に反比例すると仮定している。
上記より、ニフェジピンにより血管が拡張したときの血圧は③式より求めることができる。
ニフェジピンにより血管が拡張したときの血圧=ニフェジピン服用前の血圧×1/毛細血管の半径4……③
③式より、ニフェジピンにより血圧180 mmHgの高血圧患者の毛細血管半径が7%増大したときの血圧(mmHg)を以下のように求めることができる。
ニフェジピンにより血管が拡張したときの血圧=180 mmHg×1/(1.07)4=137.3 mmHg

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