平成28年度 第101回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 206,207

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問 206  正答率 : 70.1%
問 207  正答率 : 55.2%

 国家試験問題

国家試験問題
10歳女児。体重34 kg。昨夜より咽頭痛がひどかったため、母親が小児科を受診させ、以下の処方箋をかかりつけの保険薬局へ持参した。処方箋を受け取った薬剤師が薬剤服用歴とお薬手帳で現在服用中の薬剤を確認したところ、以下の①〜⑤であった。
スクリーンショット 2016-09-26 16.29.58.png


問206(実務)
現在服用中の薬剤のうち、セフジニル細粒との相互作用が問題となるのはどれか。1つ選べ。

1 バルプロ酸Na徐放顆粒
2 ビフィズス菌微粒
3 溶性ピロリン酸第二鉄シロップ
4 プランルカストシロップ用
5 フェキソフェナジン塩酸塩シロップ用


問207(物理・化学・生物)
セフジニルに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
スクリーンショット 2016-09-26 16.30.07.png


1 セフェム系抗生物質である。
2 細菌の細胞壁生合成に関わる酵素をアルキル化することで作用を示す。
3 β-ラクタマーゼによってaの位置で加水分解される。
4 オキシムはZ配置である。
5 アミノイミダゾリル基をもつ。

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問 206    
問 207    

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問206 解答 3

セフジニルは鉄製剤と併用すると、腸管内において鉄イオンとキレートを形成することにより、その吸収が低下する。そのため、セフジニルを服用する際は鉄剤との併用は避けることが望ましいが、止むを得ず併用する場合には互いの服用時間を2〜3時間ずらす必要がある。


問207 解答 1、4

1 正
セフジニルは、構造中にセフェム骨格を有するセフェム系抗生物質である。
スクリーンショット 2016-09-26 16.30.15.png


2 誤
セフェム系抗生物質などのβ-ラクタム系抗生物質は、細菌の細胞壁生合成に関わる酵素であるトランスペプチダーゼをアシル化することで酵素を失活させ、抗菌作用を示す。

3 誤
β-ラクタマーゼによって加水分解されるのは、角度ひずみにより不安定なβ-ラクタム環のアミド結合である(下図参照)。β-ラクタマーゼは、このβ-ラクタム環のアミド結合を開裂することで、β-ラクタム系抗生物質を不活化させる作用をもつ。
スクリーンショット 2016-09-26 16.30.39.png


4 正
E,Z表示では、二重結合の両側の原子に結合する2つの置換基に優先順位を付け、優先順位の高いもの同士が反対側にあればE配置、同じ側にあればZ配置となる。その際の優先順位は、原子番号が大きい方が高く、また同じ原子の場合にはその隣の原子の原子番号が大きい方が高くなる。また、二重結合の片方の原子が窒素原子である場合は、炭素原子の場合と比較して結合の数が1本少ないが、非共有電子対が原子番号0の原子と結合しているとみなして優先順位を付ける。
セフジニルのオキシム構造の立体配置は以下のように、原子番号が大きいものが同じ側にあるので、Z配置である。
スクリーンショット 2016-09-26 16.30.50.png


5 誤
セフジニルにアミノイミダゾリル基は存在しない。存在するのはアミノチアゾリル基である。
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