平成28年度 第101回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 220,221

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問 220  正答率 : 74.4%
問 221  正答率 : 70.2%

 国家試験問題

国家試験問題
薬剤師は疾病予防にも関わるべきであり、ワクチンに関する知識を深める必要がある。

問220(実務)
薬剤師として知っておくべきワクチンに関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
1 麻疹、風疹、水痘及びおたふくかぜのワクチン接種不適当者には妊婦が含まれる。
2 B型肝炎ワクチンは抗体価を検査しながら複数回接種することがある。
3 副腎皮質ホルモン剤や免疫抑制剤を服用している患者では、生ワクチンの接種ができない場合がある。
4 インフルエンザワクチンは、卵アレルギーの人に対しては注意して接種する。
5 結核に対する抗体がない場合は、ツベルクリンを接種する。


問221(物理・化学・生物)
予防接種に用いる抗原(ワクチン)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 ウイルスに対する生ワクチンは、接種後の免疫応答能を高めるため、天然に存在するウイルスの毒性をより高めたものである。
2 我が国におけるインフルエンザワクチンの主成分は、ウイルスから分離・精製したノイラミニダーゼを不活化したものである。
3 ワクチンの中には、病原体構成成分の組換え体タンパク質を主成分とするものがある。
4 トキソイドは、病原体が産生する毒素を、免疫原性を残したまま無毒化したものである。

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問 220    
問 221    

 e-REC解説

問220 解答 5

1 正
通常、妊婦への生ワクチンの接種は、ワクチンのウイルスが胎児に移行する危険性があるため禁忌となっている。麻疹、風疹、水痘及びおたふくかぜのワクチンはいずれも生ワクチンである。

2 正
B 型肝炎ワクチンは、通常3回接種するが、その後の抗体検査でHBs抗体価が一定の濃度以上確認されない場合には、抗体価を検査しながらB 型肝炎ワクチンを複数回接種することがある。

3 正
副腎皮質ホルモン剤や免疫抑制剤を服用している患者では、免疫機能が低下することにより、生ワクチンによる感染の可能性が増強もしくは持続する場合がある。そのため、生ワクチン接種の際には、薬剤の服用中止後一定期間以上の間隔をあける必要がある。

4 正
インフルエンザワクチンの精製には、鶏卵が用いられるため、卵にアレルギー反応を示す人には、十分な説明を行い、同意を得た上で注意して接種する必要がある。

5 誤
ツベルクリンは、結核菌に対する抗体産生を目的として接種されるものではなく、結核菌に対する細胞性免疫反応の有無を診断するものである。なお、ツベルクリン反応等が陰性の場合には、BCGワクチンを接種することがある。


問221 解答 3、4

1 誤
生ワクチンとは、ウイルスや細菌の感染力を残したまま弱毒化したものである。このワクチンは、弱毒化することで感染のリスクを下げるだけでなく、弱い毒性を残すことで感染力が保持され体液性免疫だけでなく細胞性免疫も誘導することができる。また、病原体の感染力を完全に消失させたものや、病原体の構成成分の一部を分離精製したものは不活化ワクチンとよばれ、主に体液性免疫を誘導することができる。

2 誤
我が国におけるインフルエンザワクチンの主成分は、ウイルスから分離・精製した赤血球凝集素(HA)を不活化したものであり、接種によりインフルエンザウイルスに対する抗体が誘導される。
通常、インフルエンザウイルスが宿主細胞に感染する際には、ウイルス粒子表面のHAが宿主細胞表面のウイルス受容体に結合する。インフルエンザワクチンの接種により得られる抗体は、HAと結合することでウイルスの吸着を阻害し、ウイルスの増殖を抑える役割を担う。また、ノイラミニダーゼ(NA)は、インフルエンザウイルスが主に宿主細胞から放出する際に活性を示す酵素である。

3 正
組換えタンパク質とは、組換えDNA技術を用いることにより発現させたタンパク質のことであり、さまざまな医薬品の開発にも応用されている。これはワクチンにも応用されており、組換えDNAを酵母等で発現させ、得られた組換えタンパク質を主成分とするワクチンには、B型肝炎ワクチンなどがある。

4 正
トキソイドとは、本体がタンパク質である外毒素をホルマリン等により無毒化したものである。トキソイドは、免疫原性(抗体産生誘導能)を有するため、接種により抗毒素抗体が誘導される。

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