平成28年度 第101回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 318,319

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問 318  正答率 : 84.3%
問 319  正答率 : 80.4%

 国家試験問題

国家試験問題
83歳男性。血糖コントロール不良のため、在宅訪問による服薬管理を行ってほしいと内科医から保険薬局に依頼があった。保険薬剤師が男性宅を訪問したとき、多くの糖尿病治療薬の飲み残しがあった。また家族からの情報で、この男性は耳鳴りを訴え、耳鼻科からの投薬を受けていることを確認した。認知機能の低下は顕著ではない。

問318(実務)
薬剤師は、この男性の服薬アドヒアランス低下に関わる問題点を確認した。それに対する薬剤師の対応のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

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問319(法規・制度・倫理)
この男性は、介護保険の給付を受けるために申請をすることになった。介護保険制度に関する説明のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 75歳以上の人は、自己負担金が免除されます。
2 要介護状態区分は、介護認定審査会が判定します。
3 要介護状態は、要介護1と2の2つに区分されています。
4 要介護認定を受けた場合、訪問による薬剤管理指導に係る給付は、医療保険が優先されます。
5 介護支援専門員は、サービス計画書(ケアプラン)の作成などを行います。

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問 318    
問 319    

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問318 解答 2

薬物治療の効果を上げるためには、薬剤師による服薬指導を行うことでアドヒアランス(患者が積極的に治療方針の決定に参加し、決定に従って治療を実行(服薬)すること)を向上させることが重要である。そのため、患者自らの判断で服薬を中止している場合には、服薬の必要性を説明するとともにノンコンプライアンスの原因を確認し、アドヒアランスを向上させる必要がある。
本患者は血糖コントロール不良であり、休薬日を設けることは、より血糖コントロールが不良になる可能性があるため、不適切な対応といえる。そのため、選択肢2の薬剤師の対応は誤っている。
本患者のように患者が副作用を怖がり服薬していない場合には、患者の話を聞き、不安や恐怖心を受け止め共感した後、薬の効果、起こり得る副作用、服用しないことで生じるリスクについて、わかりやすい言葉で十分に説明し、指示通りに服薬する必要があることを理解してもらうことが重要である。なお、これに関しては薬剤師だけでなく、医師や看護師などと連携して情報提供することが効果的である。


問319 解答 2、5

1 誤
75歳以上の人であっても、自己負担金は免除されない。介護保険の一部負担金は、原則として1割負担である。また、介護保険施設を利用する場合は、原則として、要した費用の1割(一定所得以上の第1号被保険者は2割)の他に施設利用費、食費、日常生活費の負担も必要となるため、併せてその旨を説明する。

2 正
要介護状態及び要支援状態の区分の判定は、介護認定審査会で行われ、判定結果に基づき市町村・特別区が認定する。

3 誤
要介護状態は要介護1〜5(数値が高いほど重度)に、また要支援状態1〜2(数値が高いほど重度)に区分される。なお、要支援状態よりも要介護状態は重度が高く、それぞれの区分は心身の状態や介護に必要な時間に応じて判定され、それぞれの区分に応じて1ヶ月あたりの居宅サービス利用限度額が定められている。

4 誤
訪問による薬剤管理指導に係る給付には、介護保険における居宅療養管理指導費や介護予防居宅療養管理指導費、医療保険における在宅患者訪問薬剤管理指導料があるが、介護保険の要介護認定又は要支援認定を受けている場合は、原則として、介護保険が優先される。

5 正
介護支援専門員(ケアマネージャー)の業務には、要介護者や要支援者の相談に応じるとともに心身状況に応じたサービス計画書(ケアプラン)の作成や市町村・サービス事業者・施設等との連絡調整などがある。また、介護支援専門員になるためには、介護支援専門員実務研修受講試験を受け、この試験に合格して実務講習・研修を受講し、都道府県知事の登録を受けることが必要である。

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