薬剤師国家試験 平成29年度 第102回 - 必須問題 - 問 10

次のアミノ酸のうち、破線で囲んだ部分の塩基性が最も強いのはどれか。１つ選べ。

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解答　２

窒素原子（N）の非共有電子対の電子密度が高いほどH＋を受け取りやすくなるため塩基性は強くなる。また、共役酸（H＋がNに結合したもの）が安定（共鳴構造を有するなど）なものほど塩基性が高くなる。

１　誤
L−アスパラギン酸の構造である。破線で囲まれている構造は、カルボキシ基であり酸性を示すが塩基性を示さない。

２　正
L−アルギニンの構造である。破線で囲まれている構造は、グアニジノ基であり、H＋を受け取り生成したカチオンは、共鳴安定化するため、強い塩基性を示す。


３　誤
L−グルタミンの構造である。破線で囲まれている構造は、カルバモイル基（アミド）であり、Nの隣にカルボニル基（C=O）が存在しているため、共鳴する。したがって、非共有電子対が非局在化するため、塩基性をほとんど示さない。


４　誤
L−トリプトファンの構造である。破線で囲まれている構造は、インドール基であり、インドールに含まれているNの非共有電子対は芳香族性に寄与しているため、非共有電子対は非局在化している。したがって、塩基性をほとんど示さない。


５　誤
L−ヒスチジンの構造である。破線で囲まれている構造は、イミダゾール基である。イミダゾールの1位のNの非共有電子対は、芳香族性に関与するため、塩基性をほとんど示さない。一方、3位のNの非共有電子対は、sp2混成軌道に収容されており、非共有電子対は局在化されているため、塩基性を示す。

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