薬剤師国家試験 令和03年度 第106回 - 一般 実践問題 - 問 220,221

問220〜221
45歳男性。175 cm、55 kg。過去に痛風発作を経験したことがあったが、その後、症状は現れておらず、治療をしていなかった。最近、職場の健康診断で尿酸値の異常を指摘され、近所のA病院を受診した。受診時の検査で、血清クレアチニン値は0.8 mg/dL、血清尿酸値は9.0 mg/dL、ASTは15 IU/L、ALTは18 IU/Lであった。
A病院の担当医は、以下の処方で薬物治療を開始することを検討した。


その際、A病院の担当医がお薬手帳を確認したところ、B総合病院消化器内科から、潰瘍性大腸炎に対してプレドニゾロンとアザチオプリンが処方され、服用中であることが判明した。

問220（実務）
検討中の処方に関し、A病院の担当医から薬剤部の薬剤師に相談があった。薬剤師の回答として適切なのはどれか。１つ選べ。

１　そのまま処方して構いません。
２　フェブキソスタット錠を減量してください。
３　フェブキソスタット錠の規格を20 mg錠に変更してください。
４　フェブキソスタット錠をアロプリノール錠に変更してください。
５　フェブキソスタット錠をベンズブロマロン錠に変更してください。


問221（物理・化学・生物）
高尿酸血症・痛風治療薬の処方を扱うことが多いこの薬剤師は、プリン塩基及び関連化合物の代謝経路について図のとおり整理した。この図に関する記述のうち、正しいのはどれか。２つ選べ。

１　Xはヒポキサンチンである。
２　フェブキソスタットは反応①と反応②を阻害する。
３　Xは反応②で酸化されて尿酸になる。
４　反応②の生成物は、尿素に変換されて尿中に排泄される。
５　この薬剤師が前間の回答をしたのは、フェブキソスタットにより反応③が阻害され、アザチオプリンの血中濃度が上昇すると考えられたためである。

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問220　解答　５

アザチオプリン服用中の患者に対してフェブキソスタットの投与は禁忌である。フェブキソスタットは、非プリン型のキサンチンオキシダーゼ阻害薬であり、プリン塩基の代謝を阻害することにより尿酸の生成を抑制する。
一方、アザチオプリンは、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ（反応③）により6−メルカプトプリンに分解され、この6−メルカプトプリンが核酸合成を阻害することにより免疫抑制作用を示す。6−メルカプトプリンの大部分はキサンチンオキシダーゼにより代謝され、6−チオ尿酸となり尿中排泄される。
そのため、フェブキソスタットのようなキサンチンオキシダーゼ阻害薬と併用すると、6−メルカプトプリンの血中濃度が高くなり、骨髄抑制などの副作用が起こりやすくなる。したがって、フェブキソスタットを異なる作用機序の高尿酸血症治療薬へ提案することが望ましいことから、キサンチンオキシダーゼ阻害薬のアロプリノールではなく、尿酸排泄促進薬のベンズブロマロンへの変更の提案（選択肢５）が適切である。


問221　解答　２、３

１　誤
Xはキサンチンであり、プリン塩基が代謝されることにより生成する。以下に、プリン塩基の代謝経路を示す。


２　正
反応①及び反応②はキサンチンオキシダーゼにより触媒され反応が進行する。フェブキソスタットはキサンチンオキシダーゼを阻害することにより尿酸生成を抑制する。

３　正
解説１参照

４　誤
反応②の生成物である尿酸は、プリン塩基の最終代謝産物である。そのため、尿酸の状態で尿中に排泄される。

５　誤
反応③の触媒酵素はグルタチオン−S−トランスフェラーゼである。フェブキソスタットはキサンチンオキシダーゼを阻害するが、グルタチオン−S−トランスフェラーゼは阻害しない。この薬剤師が前問の回答をした理由としては、6−メルカプトプリンの血中濃度が高くなり、骨髄抑制などの副作用が起こりやすくなるからだと考えられる（前問解説参照）。

解説動画１ ( 17:47 )  

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