平成25年度 第98回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 100

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問 100  正答率 : 55.8%

 国家試験問題

国家試験問題
タンパク質の構造に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 αヘリックスやβシートの形成には、ペプチド結合のC=OとN−H間の水素結合が大きく寄与する。


2 タンパク質中の側鎖間には、共有結合が存在しない。


3 金属タンパク質中の金属イオンは、金属結合によりタンパク質と結合している。


4 膜タンパク質の膜貫通領域には、親水性のアミノ酸残基が多い。


5 通常、タンパク質は、高濃度の尿素溶液により変性する。

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問 100    

 e-REC解説

解答 1、5

1 正
α-ヘリックスやβ-シートはタンパク質の二次構造の共通モチーフであり、下図のようにペプチド結合(-CONH-)間における水素結合が重要な役割をしている。
スクリーンショット 2017-04-14 17.22.35.png

2 誤
システイン側鎖間のジスルフィド結合は共有結合である。ジスルフィド結合を有するペプチドとしてインスリンがある。
スクリーンショット 2017-04-14 17.24.13.png

3 誤
金属結合とは、金属原子を結びつけて金属結晶を形成する化学結合である。タンパク質中において、金属イオンは下図のように共有結合や配位結合などでタンパク質と結合している。有名なものとしてジンクフィンガーがある。
スクリーンショット 2017-04-14 17.25.25.png

4 誤
膜タンパク質の膜貫通領域には、疎水性のアミノ酸残基が多い。生体膜はリン脂質から構成されており、下図のように脂質二重層を形成する。細胞の内外は主に水で満たされているため、外側に親水性のリン酸エステル部位、内側に疎水性の脂肪酸部位が並ぶような構造をとる。このため、膜貫通領域は、脂肪酸アルキル側鎖との疎水性相互作用によって有利になるように、バリン、ロイシン、イソロイシンなどの疎水性アミノ酸が多くなっている。
スクリーンショット 2017-04-14 17.26.35.png

5 正
タンパク質は水素結合、疎水性相互作用などにより高次構造(二次~四次構造)を保っているが、加熱や外部刺激により相互作用が阻害されると適切な折りたたみ構造を失い変性する。尿素は2つの水素結合供与部位を有しており、アミド結合のカルボニル酸素などと強く相互作用することで、タンパク質の適切な水素結合を阻害する。なお、尿素の他に疎水性相互作用を阻害する変性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤がある。
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