令和03年度 第106回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 102

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問 102  正答率 : 59.6%

 国家試験問題

国家試験問題
酸性の強さを比較したもののうち、正しいのはどれか。2つ選べ。ただし、第一解離のみを比較するものとする。

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問 102    

 e-REC解説

解答 4、5

一般に、酸の強さを考える際は共役塩基(酸がH(プロトン)を放出した後の化学種)の安定性を考える。共役塩基が安定であるほど、元の酸は強い酸となる。なお、共役塩基が安定とは、「共役塩基の負電荷が分散する」、「共役塩基が弱い塩基」と言い換えることもできる。
また、酸性を示す官能基が同じ場合、電子求引基を持つと強い酸となる。

1 誤
CH3S(左の共役塩基)とCH3O(右の共役塩基)を比較する。負電荷が同族元素上に存在する場合、負電荷が存在する原子の原子半径が大きいほど(周期表の下の元素ほど)負電荷が分散する。原子半径はS>Oなので、共役塩基の安定性はCH3S>CH3Oとなるため、元の酸の強さはCH3SH>CH3OHとなる。

2 誤
ピリジン(左の共役塩基)とピペリジン(右の共役塩基)を比較する。窒素原子の場合、非共有電子対がs性の低い混成軌道に収容されるほど塩基性が高くなる。非共有電子対は、ピリジンならsp2混成軌道に、ピペリジンならsp3混成軌道に含まれるため、塩基性はピリジン<ピペリジンとなる。従って、共役塩基の安定性はピリジン>ピペリジンと逆になるため、元の酸の強さは以下の通りとなる。
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3 誤
酸性を示す官能基はどちらもアルコール(-OH)である。フッ素は電子求引基として働くため、酸の強さは以下の通りとなる。
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4 正
酸性を示す官能基はどちらもカルボン酸(-CO2H)である。トリメチルアンモニウム基[(CH3)3N-]は電子求引基として働くため、酸の強さは以下の通りとなる。
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5 正
酸性を示す官能基はどちらもカルボン酸(-CO2H)である。塩素は電子求引基として働き、電子求引基は酸性を示す官能基に近いほど酸性度を高くするため、酸の強さは以下の通りとなる。
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