平成24年度 第97回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 103

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問 103  正答率 : 44.6%

 国家試験問題

国家試験問題
含窒素複素環化合物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 水溶性は、ピリジンよりキノリンの方が高い。


2 塩基性は、ピロリジンよりピロールの方が弱い。


3 重クロロホルム中で測定した1H-NMRのうち、炭素原子に結合した水素のシグナルは、ピリジンよりピペリジンの方が高磁場に観測される。


4 芳香族求電子置換反応は、ピロールよりピリジンの方が速い。

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問 103    

 e-REC解説

解答 2、3

1 誤
ピリジンは、構造中の窒素原子が水分子と水素結合することができるため、水に溶けやすく、キノリンは、構造中に疎水性の高いベンゼン環を有するため、水に溶けにくい。よって、水溶性はピリジンよりキノリンの方が低い。
スクリーンショット 2017-05-01 16.09.43.png


2 正
ピロリジンに含まれる窒素原子の非共有電子対は、プロトンを受け取ることができるため、ピロリジンは塩基性を示すが、ピロールに含まれる窒素原子の非共有電子対は、p軌道に収容され芳香族性に寄与し、プロトンを受け取ることができないため、ピロールは塩基性を示さない。よって、塩基性は、ピロリジンよりピロールの方が弱い。
スクリーンショット 2017-05-01 16.11.09.png


3 正
1H-NMRでは、芳香環の炭素に直接結合したプロトンのシグナルは8〜6 ppm付近に現れ、脂肪族の炭素に直接結合したプロトンのシグナルは1 ppm付近に現れる。よって、1H-NMRでは、炭素原子に結合した水素のシグナルは、ピリジンよりピペリジンの方が高磁場に観測される。
スクリーンショット 2017-05-01 16.13.42.png


4 誤
ピリジンとピロールを比較すると、6員環で6個のπ電子を有するピリジンの方が、5員環で6個のπ電子を有するピロールよりも電子密度が低く、求電子試薬との反応性が低い。よって、芳香族求電子置換反応は、ピロールよりピリジンの方が遅い。

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