平成29年度 第102回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 106

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問 106  正答率 : 44.5%

 国家試験問題

国家試験問題
次に示した医薬品の活性成分Aに関する記述のうち正しいのはどれか。2つ選べ。
スクリーンショット 2017-10-13 22.17.50.png

1 N末端のアミノ酸はD—プロリンである。


2 C末端では、L—プロリンの環内の窒素がN−エチル化されている。


3 L−ロイシンのエナンチオマーであるD−ロイシンが含まれている。


4 経口投与には適さない。

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問 106    

 e-REC解説

解答 3、4

活性成分Aは、リュープロレリン酢酸塩の構造である。リュープロレリン酢酸塩は、生体内に存在する黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)の構造を基に開発されたペプチド系医薬品である。
スクリーンショット 2017-10-13 22.18.49.png

1 誤
本構造のN末端のアミノ酸はプロリンである。また、このプロリンの構造をFischer式で表すと下記の通りになる。
スクリーンショット 2017-10-13 22.20.00.png
アミノ酸のD,L表示は、Fischer式で表した際に、アミノ基(−NH2)が左にあるものをD体、右にあるものをL体として表す。したがって、C末端のアミノ酸はL−プロリンであると推測される。

2 誤
本構造のC末端におけるL−プロリンの環を構成するN原子は、アルギニンとのペプチド結合に使われており、N−エチル化はされていない。なお、N−エチル化されているのは、L−プロリンのカルボキシル基である。
スクリーンショット 2017-10-13 22.22.47.png

3 正
アミノ酸(今回はロイシン)のD体とL体は、立体異性体である鏡像異性体(エナンチオマー)の関係にあり、活性成分AにはD−ロイシン(D−Leu)が存在している。

4 正
活性成分Aはペプチドホルモンを基にしたペプチド系医薬品である。ペプチド系医薬品は、一般に消化管内で酵素によってペプチド結合(アミド結合)が加水分解されやすいため、経口投与には適さない。

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