平成24年度 第97回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 107

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問 107  正答率 : 35.5%

 国家試験問題

国家試験問題
2つの5員環化合物(A、B)から図に示す反応を以下の操作手順で行った。この反応に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

実験操作
100 mLの丸底フラスコにB(60 mmol)を入れ、無水ベンゼン(50 mL)に溶かす。これを約5℃に冷却し、A(66 mmol)の無水ベンゼン(5mL)溶液を5分間で滴下する。室温で10分間撹拌後、さらに10分間加熱還流させると、化合物CとD の生成を確認した。
放冷後、石油エーテル(約30 mL)をゆっくりと加え、冷却すると、生成物Cが析出した。
スクリーンショット 2017-05-01 16.58.08.png

1 この反応はディールス・アルダー反応とよばれる。


2 この反応はエンド則に従い、主にCを生じる。


3 Aからヒドリドがとれて生じる化合物は芳香族性を示す。


4 Bの名称は無水フタル酸である。


5 Cを単離するには、ひだつきろ紙を用いて吸引ろ過するのが最も適している。

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問 107    

 e-REC解説

解答 1、2

1 正
本反応では、シクロペンタ−1,3−ジエン(4π電子系)と無水マレイン酸(2π電子系)が[4+2]付加反応により新たな6員環構造を生成している。このことから、本反応はディールス・アルダー反応である。

2 正
ジエン又はジエノフィルが共に環状構造である場合、ディールス・アルダー反応では、エンド則に従い、エキソ付加物Dよりもエンド付加物Cが優先的に生成する。

3 誤
Aからヒドリド(H)がとれて生成するシクロペンタジエンは、π電子は4個であるため、芳香族性を示さない。
スクリーンショット 2017-05-01 17.00.27.png

なお、Aからプロトン(H)がとれて生成するシクロペンタジエニルアニオンは、π電子が6個であるため、芳香族性を示す。
スクリーンショット 2017-05-01 17.01.48.png


4 誤
Bの名称は無水マレイン酸である。
スクリーンショット 2017-05-01 17.03.24.png


5 誤
ひだつきろ紙は、ろ紙をひだ状に折ることによって表面積が大きくなる。漏斗を用いて自然ろ過する際にろ過する時間の短縮するために使用する。一方、吸引ろ過は、吸引する際にろ紙が漏斗にしっかりくっついていなければならないので、ひだつきろ紙を使用することはできない。

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