令和03年度 第106回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 111

Pin Off  未ブックマーク    |  |  |   
問 111  正答率 : 43.8%

 国家試験問題

国家試験問題
下図はヒトの副交感神経節後線維終末を模式的に表したものである。図中の①〜④に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

スクリーンショット 2021-06-10 18.36.09.png


1 物質①は、モノアミントランスポーターによって神経終末に取り込まれる。


2 物質②は、分子内に4級アンモニウム基をもつ。


3 心臓の洞房結節細胞において、物質②に対する受容体が刺激されると、Kチャネルが開口して、過分極が生じる。


4 膜タンパク質③は、アゴニスト刺激によって開口するCa2+チャネル内蔵型受容体で、シナプス小胞のエキソサイトーシスに関与する。


5 血漿中には膜タンパク質④と同じ活性をもつ酵素が存在し、その基質特異性は膜タンパク質④よりも高い。

 解説動画  ( 00:00 / 0:00:00 )

限定公開

 ビデオコントロール

 解説動画作成を要望!

 解答を選択

問 111    

 e-REC解説

解答 2、3

設問中の図は、副交感神経節後線維終末を模式的に示したものであり、図中の①〜④はそれぞれ、①コリン、②アセチルコリン、③電位依存性Ca2+チャネル、④アセチルコリンエステラーゼ(真性コリンエステラーゼ)である。

1 誤
コリンは、コリントランスポーターにより神経終末に取り込まれる。なお、モノアミントランスポーターによって神経終末に取り込まれる代表的な物質は、交感神経の神経伝達物質であるノルアドレナリンである。

2 正
アセチルコリンは、分子内に4級アンモニウム基をもつ。
スクリーンショット 2021-06-10 18.42.57.png

3 正
心臓の洞房結節細胞において、アセチルコリンが刺激する受容体はムスカリン性アセチルコリンM2受容体である。アセチルコリンがM2受容体を刺激すると、Kチャネルが開口してKの細胞外流出が促進するため、過分極が生じる。

4 誤
電位依存性Ca2+チャネルは、Naの流入で生じる電気刺激により開口するチャネルで、シナプス小胞のエキソサイトーシスに関与する。

5 誤
血漿中にはアセチルコリンエステラーゼ(真性コリンエステラーゼ)と同じような活性をもつブチリルコリンエステラーゼ(偽性コリンエステラーゼ)が存在し、その基質特異性はアセチルコリンエステラーゼよりも低い。なお、基質特異性とは、酵素が特定の物質(基質)にのみ作用して、特定の化学反応を起こすことであり、アセチルコリンエステラーゼはアセチルコリンのみを分解するのに対し、ブチリルコリンエステラーゼはアセチルコリン以外にもスキサメトニウム、プロカインなどの薬物も分解する。

 Myメモ - 0 / 1,000

e-REC 過去問解説システム上の [ 解説 ] , [ 解説動画 ] に掲載されている画像・映像・文章など、無断で複製・利用・転載する事は一切禁止いたします