令和06年度 第109回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 115

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問 115  正答率 : 55.8%

 国家試験問題

国家試験問題
ペニシリン耐性の黄色ブドウ球菌が発現するβ−ラクタマーゼを精製し、反応速度論的解析を行った。β−ラクタマーゼの反応は以下のミカエリス・メンテン式に従うものとする。
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異なる濃度のペニシリンを含む10 mLの反応液中に1 ngのβ−ラクタマーゼを加え、反応生成物の量を測定したところ、ペニシリン濃度([S])と1分間に生じる反応生成物の量(v)の関係は図1のようになった。また、ペニシリン濃度の逆数(1/[S])と1分間に生じた反応生成物量の逆数(1/v)をプロットしたところ、図2のようになり、回帰直線の式は
スクリーンショット 2024-05-28 15.43.27.png
であった。

スクリーンショット 2024-05-28 15.44.08.png


以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。なお、測定中のペニシリン濃度の低下は無視できるものとする。

1 β−ラクタマーゼは、酸化還元酵素である。


2 反応液中のβ−ラクタマーゼを2 ngにしても、単位時間あたりの反応生成物量は変わらない。


3 この酵素のVmaxの値は0.067 nmol/mL・min(有効数字2桁)である。


4 この反応系に競合阻害薬を加えて実験した場合、見かけ上のKmは5.0 µmol/Lより大きくなる。


5 この反応系に非競合阻害薬を加えて実験した場合、図2の回帰直線の傾きは小さくなる。

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問 115    

 e-REC解説

解答 3、4

1 誤
β−ラクタマーゼは、β−ラクタムを加水分解する加水分解酵素(ヒドロラーゼ)である。

2 誤
反応液中のβ−ラクタマーゼの量を1 ngから2 ngに増やした場合、単位時間あたりの反応生成物量は増加すると考えられる。

3 正
ミカエリス・メンテン式の逆数をとると、以下のラインウィーバー・バーク式に変形できる。
スクリーンショット 2024-05-28 15.45.39.png
ラインウィーバー・バーク式と与えられた回帰直線の式が対応しているため、以下の関係式が成り立つ。
スクリーンショット 2024-05-28 15.46.12.png

4 正
Kmはミカエリス定数といい、本問の場合、1分間に生じる反応生成物の量(v)が最大反応速度の半分(Vmax/2)となるときのペニシリン濃度を表し、選択肢3の解説よりKm = 5.0 µmol/Lである。競合阻害薬を加えた場合、Vmaxは変化しないが、Kmは大きくなるため、この反応系に競合阻害薬を加えて実験した場合、見かけ上のKmは5.0 µmol/Lより大きくなる。

5 誤
回帰曲線の傾きは選択肢3の解説よりKm/Vmaxで与えられる。非競合阻害薬を加えた場合、Kmは変化しないが、Vmaxが小さくなるため、この反応系に非競合阻害薬を加えて実験した場合、図2の回帰直線の傾きは大きくなる。

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