令和06年度 第109回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 117

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問 117  正答率 : 53.6%

 国家試験問題

国家試験問題
抗体とそのクラススイッチに関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 クラススイッチは、抗体可変部の遺伝子再編成の後にB細胞で生じる。


2 最初に産生される抗体のクラスは、IgMである。


3 クラススイッチにより変化する領域は、重鎖(H鎖)に存在する。


4 すべての抗体のクラススイッチは、転写産物であるRNAの選択的スプライシングの違いで生じる。


5 クラススイッチは、T細胞との細胞間相互作用やサイトカインにより制御される。

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問 117    

 e-REC解説

解答 4

B細胞は、幹細胞から分化する過程で抗原非依存的にB細胞抗原受容体(BCR、膜結合型抗体)の可変部の遺伝子再編成が行われ、さまざまな抗原に対する抗体を産生するB細胞が生成される。この際、B細胞が最初に産生する抗体のクラスはIgMである。その後、B細胞は、二次リンパ器官に移行し、抗原刺激やヘルパーT細胞等の影響を受け成熟すると、H鎖定常部の遺伝子のいずれかが活性化し、抗体の可変部を変化させずにIgMとは異なるクラスの抗体を産生するようになる。このように抗体の可変部を変化させずにH鎖定常部の構造が変化する現象をクラススイッチという。

1 正しい
前記参照

2 正しい
前記参照

3 正しい
前記参照

4 誤っている
プレmRNA(前駆体mRNA)が成熟mRNAになる過程でスプライシングによりイントロンが除去されるが、一つのプレmRNAの異なるエキソンをつなぎ合わせることにより、二種類以上の成熟mRNAが生み出されることがある。これを選択的スプライシングという。
ほとんどの抗体のクラススイッチは、一般にそれぞれのH鎖定常部遺伝子の上流にあるスイッチ領域の塩基配列の特殊な組換えを起こすことによって起こるため、選択的スプライシングとは異なる変化である。ただし、IgMからIgDへのクラススイッチは、IgDの遺伝子がスイッチ領域を持たないため、選択的スプライシングが行われる。

5 正しい
クラススイッチは、T細胞との細胞間相互作用やサイトカインにより制御される。例として、IgMからIgGまたはIgEへのクラススイッチはIL-4(インターロイキン4)などが、IgMからIgAへのクラススイッチにはIL-5(インターロイキン5)などが関与する。

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