平成25年度 第98回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 117

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問 117  正答率 : 61.0%

 国家試験問題

国家試験問題
遺伝子工学に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 ヒトの皮膚より作製したcDNAライブラリーには、ヒトゲノムDNA配列のほとんどすべてが含まれる。


2 制限酵素は、特定のDNA塩基配列を認識し切断するエキソヌクレアーゼである。


3 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、標的とするDNA領域を少量の試料から短時間で増幅することができる。


4 DNAの塩基配列決定法には、ジデオキシリボヌクレオチドを用いる方法がある。


5 ヒトの糖タンパク質をコードする遺伝子を大腸菌で発現させると、ヒトと同一のアミノ酸配列及び糖鎖を有する糖タンパク質が合成される。

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問 117    

 e-REC解説

解答 3、4

1 誤
cDNAライブラリーは、mRNAを鋳型として作製したcDNAから構成されている。mRNAはイントロン配列をもたず、臓器・組織ごとに発現している遺伝子が異なるため、ヒトの皮膚より作製したcDNAライブラリーに、ヒトゲノムDNA配列のほとんどすべてが含まれるわけではない。

2 誤
制限酵素は、特定のDNA塩基配列を認識し切断するエンドヌクレアーゼである。なお、エキソヌクレアーゼは、ポリヌクレオチド鎖の末端からヌクレオチドを1つずつ切断する酵素であり、エンドヌクレアーゼは、ヌクレオチド鎖の途中を切断する酵素である。制限酵素は、代表的なエンドヌクレアーゼである。

3 正
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、二重鎖DNAを一本鎖DNAへ変換した後、耐熱性ポリメラーゼとプライマーを用いて標的とするDNA領域を少量の試料から短時間で増幅することができる方法である。

4 正
ジデオキシリボヌクレオチドを用いるDNAの塩基配列決定法をジデオキシ法(サンガー法)といい、DNAポリメラーゼによるDNA合成の伸長反応を、特定の塩基の位置でランダムに停止させることで塩基配列を決定する方法である。

5 誤
大腸菌などの原核生物では、翻訳後修飾に関わる細胞内小器官が存在せず、糖鎖付加やリン酸化などのタンパク質の修飾が起こらないため、ヒトと同一のアミノ酸配列及び糖鎖を有する糖タンパクを合成することはできない。

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