平成28年度 第101回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 127

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問 127  正答率 : 78.3%

 国家試験問題

国家試験問題
第二次世界大戦後、四日市地域ではコンビナート(火力発電、石油精製、石油化学の工場群)が次々に操業を開始した。その後、市への悪臭の苦情及び汚染地域でのぜん息患者が増加したが、これらの現象はコンビナート操業前には認められなかった。そのため、1961年から5年間の国民健康保険のレセプト(診療報酬明細書)をもとに、汚染地区と汚染がみられなかった地区(対照地区)の住民約3万人について、二酸化硫黄による大気汚染と地域住民の気管支ぜん息などの健康被害の調査が行われた。以下の図1〜3は、その調査結果である。
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この疫学調査に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 この調査は、症例対照研究である。


2 1961年の時点で、四日市市内では頻繁に酸性雨が認められていた。


3 対照地区でも気管支ぜん息の受診があったことから、二酸化硫黄が原因物質である可能性は低いと考えられる。


4 1961年以降、汚染地区で、気管支ぜん息の受診割合が対照地区に比べ多いことから、二酸化硫黄曝露と健康被害との間には関連があると考えられる。


5 二酸化硫黄濃度が高くなると、気管支ぜん息の発作回数が増加する傾向が認められる。

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問 127    

 e-REC解説

解答 4、5

1 誤
この調査は、生態学的研究である。生態学的研究は、集団(国、県、市町村、地区など)を単位として、集団間で要因と疾病の関連を検討する。要因と疾病の関連性を示すことはできるが、因果関係は言及できない。

2 誤
酸性雨とは、pHが5.6以下の雨のことである。図1より、1961年時点の雨水のpHは5.6を下回っていないため、酸性雨は認められなかったと考えられる。

3 誤
図2より、二酸化硫黄による汚染地区では、対照地区よりも気管支ぜん息受診率割合が高いため、二酸化硫黄が気管支ぜん息の原因物質である可能性は高い。

4 正
解説3参照

5 正
図3より、二酸化硫黄濃度が高くなるにつれて、週累積発作回数が増加している。よって、二酸化硫黄濃度が高くなると、気管支ぜん息の発作回数が増加する傾向が認められる。

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