平成30年度 第103回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 127

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問 127  正答率 :

 国家試験問題

国家試験問題
表は、福岡県の久山町研究において65歳以上の住民826名を15年間追跡し、65歳の時点での高血圧と耐糖能異常が、その後の脳血管性認知症とアルツハイマー病の発症に及ぼす影響について調べたものである。この結果から導き出される結論として誤っているのはどれか。2つ選べ。
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a 収縮期血圧140 mmHg以上、又は拡張期血圧90 mmHg以上、又は降圧薬内服者を(+)とした。
b 空腹時血糖値115 mg/dL以上、又は食後2時間以後の血糖値140 mg/dL以上、又は随時血糖値200 mg/dL、又は糖尿病の病歴ありの者を(+)とした。
c 高血圧及び耐糖能異常がいずれも(-)の群を基準群(1.0)として表示した。
* 基準群と比較して有意差あり。相対危険度の95%信頼区間が1.0を含まない場合に有意とした。

1 耐糖能異常は、単独でアルツハイマー病の危険因子となる。


2 耐糖能異常がない場合、高血圧はアルツハイマー病を抑制する因子となる。


3 高血圧及び耐糖能異常は、いずれも単独で脳血管性認知症の危険因子となる。


4 脳血管性認知症は高血圧の危険因子となる。


5 高血圧はアルツハイマー病に対する耐糖能異常の影響を解析する上で、交絡因子となる。

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問 127    

 e-REC解説

解答 2、4、5 ※本問は正解が3つあるため2、4、5いずれか2つを選択して正解とする。

本問の疫学調査では、要因(高血圧及び耐糖能異常)に曝露した要因群と要因の非曝露の対照群にわけ、15年間追跡調査をすることにより、その後の疾病(脳血管性認知症とアルツハイマー病)の発症に及ぼす影響について調べていることから、要因対照研究(コホート研究)であること推察される。
また、要因対照研究では、相対危険度を算出することが可能であり、相対危険度は、因果関係の判定に用いられる。相対危険度の値が1を上回る場合、要因曝露により疾病が発症しやすくなり、1を下回る場合、要因曝露により疾病が発症しにくくなる。

1 正しい
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上表より、耐糖能異常のみがある場合は、アルツハイマー病の相対危険度が1.0から4.6(基準群と比較して有意差あり)であり、相対危険度が1より大きいことから、耐糖能異常は、単独でアルツハイマー病の危険因子となる。

2 誤っている
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上表より、高血圧のみがある場合は、アルツハイマー病の相対危険度が1.0から0.9となっているが、*がないため、基準群と比較して有意差があるとはいえない。よって、耐糖能異常がない場合、高血圧はアルツハイマー病を抑制する因子とはいえない。

3 正しい
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上表より、耐糖能異常のみがある場合は、脳血管性認知症の相対危険度が1.0から4.2(基準群と比較して有意差あり)であり、高血圧のみがある場合は、脳血管性認知症の相対危険度が1.0から4.1(基準群と比較して有意差あり)となっていることから、高血圧及び耐糖能異常は、いずれも単独で脳血管性認知症の危険因子となる。

4 誤っている
本研究では、高血圧及び耐糖能異常の有無が脳血管性認知症及びアルツハイマー病の発症に及ぼす影響を調べたものであるため、脳血管性認知症の有無から高血圧の発症との関連性を解析することはできない。よって、脳血管性認知症は高血圧の危険因子となるかは不明である。

5 誤っている
交絡因子とは、疫学調査において、調査対象である因子以外で、結果に影響を与える因子を交絡因子という。
本設問では、高血圧はアルツハイマー病を抑制する因子とはいえないため(解説2参照)、高血圧はアルツハイマー病に対する耐糖能異常の影響を解析する上で、交絡因子となるとはいえない。

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