令和04年度 第107回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 133,134,135

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問 133  正答率 : 60.6%
問 134  正答率 : 94.8%
問 135  正答率 : 89.5%

 国家試験問題

国家試験問題
自宅の寝室で倒れている男性が救急搬送された。簡易検査の結果をもとに、直ちに対応する解毒薬が投与された。一方、寝室にはコップの中に大量の錠剤が沈んだ飲料水が残されていた。

問133(物理・化学・生物)
錠剤の成分が何かを調べるため、コップの中に残された薬剤に適切な処理をしたのち、1H NMRスペクトル(CDCl3溶媒中)を測定した。得られたスペクトルをデータベースと照合したところ、図に示したチャートとシグナル及び積分値が一致した。錠剤の成分として推定される医薬品Aの構造はどれか。1つ選べ。ただし、図はTMSを基準(0 ppm)とし、シグナルを積分曲線と共に示したもので、×は重溶媒中に微量に含まれるCHCl3のシグナルである。

スクリーンショット 2022-06-15 17.27.37.png

スクリーンショット 2022-06-15 17.27.43.png


問134(法規・制度・倫理)
法令上、この医薬品Aが該当するのはどれか。1つ選べ。

1 麻薬


2 向精神薬


3 覚醒剤


4 指定薬物


5 要指導医薬品




問135(衛生)
この患者に投与された解毒薬として、適切なのはどれか。1つ選べ。

1 ネオスチグミン


2 ナロキソン


3 フルマゼニル


4 ヨウ化プラリドキシム


5 ジメルカプロール

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問 133    
問 134    
問 135    

 e-REC解説

問133 解答 1

積分曲線を利用して、医薬品Aの有する水素の数を推定する。
最も低い積分曲線の積分値を1(水素1個分)とすると、各積分値は下記のようになる。
スクリーンショット 2022-06-15 17.29.14.png

したがって、化合物Aは12個の水素を有する化合物であることが推定される。
選択肢1〜5の化合物の水素数は、それぞれ下記の通りであるため、化合物Aは選択肢1の化合物(トリアゾラム)と考えられる。
スクリーンショット 2022-06-15 17.29.48.png



問134 解答 2

医薬品Aはトリアゾラムであり、法令上、向精神薬に該当する。なお、他の選択肢の医薬品も全て向精神薬に該当する。


問135 解答 3

この患者はベンゾジアゼピン系医薬品であるトリアゾラムの中毒と考えられるため、ベンゾジアゼピン受容体拮抗薬であるフルマゼニルが投与されたと考えられる。

1 誤
ネオスチグミンは、コリンエステラーゼを阻害し、アセチルコリンの分解を抑制することで、間接的にニコチン性アセチルコリンNM受容体を刺激するため、ベクロニウムやロクロニウムなどの競合拮抗型筋弛緩薬中毒の解毒に用いられる。

2 誤
ナロキソンは、オピオイドµ受容体拮抗作用を有するため、モルヒネなどの麻薬中毒の解毒に用いられる。

3 正

4 誤
ヨウ化プラリドキシムは、アセチルコリンエステラーゼに結合している有機リン系化合物の脱離作用を有するため、パラチオンやマラチオンなどの有機リン系化合物中毒の解毒に用いられる。

5 誤
メルカプロールは、重金属とキレートを形成して排泄を促進するため、ヒ素(As)、水銀(Hg)、鉛(Pd)、銅(Cu)などの重金属中毒の解毒に用いられる。

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