平成29年度 第102回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 138

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問 138  正答率 : 52.6%

 国家試験問題

国家試験問題
6種類の有機化合物を水に溶解し、生物化学的酸素要求量(BOD)(注1)及び2種類の測定法による化学的酸素要求量(COD)を求めた。下表は、このBODとCODを、理論的酸素要求量(注2)に対する割合(%)として示したものである。この表から考えられる記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
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(注1)BODは、試料に植種水を加え、20℃、5日間に消費された溶存酸素量(DO)の値から求めた。
(注2)理論的酸素要求量とは、化合物1 gが酸化されてCO2及びH2Oに分解されるのに必要な酸素消費量(g)を示す。ただし、窒素化合物のアミノ基はNH3に分解されるものとして算出した。

1 BODとCODの間には、有機化合物の種類にかかわらず、比例関係が認められる。


2 酸性高温過マンガン酸法では、糖質はカルボン酸やアミノ酸に比べ、酸化されにくい。


3 2種類のCODの測定法のうち、二クロム酸法の方が有機化合物の種類にかかわらず、強い酸化力を示す。


4 この実験に用いた植種水中の微生物は、6種類の化合物のうち、酢酸に対して最も高い酸素消費量(g O /g)を示す。


5 湖沼から採取した試料水にグリシンが大量に含まれる場合には、酸性高温過マンガン酸法によるCODが、その試料水の酸素消費量を最も良く反映する。

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問 138    

 e-REC解説

解答 3、4

1 誤
BODとCODはともに水中の有機物汚染の指標として用いられるが、有機物の種類によってBODとCODの値は異なることがあるため、両者の間には必ずしも比例関係が認められるわけではない。

2 誤
酸性高温過マンガン酸法では、糖質(グルコース、ラクトース)は、カルボン酸(酢酸、プロピオン酸)やアミノ酸(グリシン、L-グルタミン酸)に比べて理論的酸素要求量に対する割合が大きいため、糖質の方がカルボン酸やアミノ酸よりも酸化されやすい。

3 正
すべての化合物において、ニクロム酸法は、酸性高温過マンガン酸法よりも理論的酸素要求量に対する割合が大きいため、強い酸化力を示すことがわかる。

4 正
植種水はBODの測定に用いられていることから、BODの理論的酸素要求量に対する割合(%)を比較する。実際の酸素消費量は、理論的酸素要求量に理論的酸素要求量に対する割合を乗じることで算出できる。
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上記より、この実験に用いた植種水中の微生物は、酢酸に対して最も高い酸素消費量(g O /g)を示す。

5 誤
グリシンのCODの理論的酸素要求量に対する割合は、酸性高温過マンガン酸法が3%であるのに対し、ニクロム酸法は100%であることから、湖沼から採取した試料水にグリシンが大量に含まれる場合には、ニクロム酸法によるCODが、その試料水の酸素消費量を最も良く反映する。

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