令和08年度 第111回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 154,155

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問 154  リアルタイム正答率 : 80.4%
問 155  リアルタイム正答率 : 67.0%

 国家試験問題

国家試験問題
問154〜155
30歳女性。高校3年生のときにきっかけもなく元気がなくなり、3ケ月間学校を休んだことがあったが、特に治療を受けずに回復した。その後は順調であったが、1ケ月前に急に元気がなくなり、会社を休んだりしていた。ここ数日は「偉大な発見をしたので、自分には特別な才能がある」と言ったり、誰彼構わず夜中に電話をするといった状態が持続するため、母親に連れられて来院した。母親によると2週間前から母親と話していても、話の内容が次々と脱線し、話している内容がまとまらない、些細なことを契機に怒り出すなど、普段とは異なる行動がみられた。睡眠をほとんどとっていないが、本人は疲れを感じていない。親戚や友人への電話で家や車の購入計画などを話し、相手が反対すると激怒するようになった。血液生化学検査、脳画像検査、脳脊髄液検査、脳脊髄液検査で異常はない。飲酒・喫煙歴なし。違法薬物の使用歴もない。診察の結果、患者は双極性障害と診断された。


問154(病態・薬物治療)
この患者に認められる症状はどれか。2つ選べ。

1 観念奔逸


2 誇大妄想


3 心気妄想


4 罪業妄想


5 貧困妄想




問155(薬理)
双極性障害に用いられる薬物の薬理作用に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 炭酸リチウムは、イノシトール1-リン酸分解酵素を阻害し、ホスファチジルイノシトール(PI)代謝回転を亢進させる。


2 オランザピンは、電位依存性Ca2+チャネルのα2δサブユニットに結合し、興奮性神経伝達物質の遊離を抑制する。


3 アリピプラゾールは、ドパミンD2受容体及びセロトニン5-HT1A受容体に対して部分刺激薬として作用する。


4 カルバマゼピンは、γ-アミノ酪酸(GABA)トランスアミナーゼを阻害し、脳内GABA量を増加させる。


5 ラモトリギンは、電位依存性Naチャネルを遮断し、神経細胞の過剰興奮を抑制する。

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問 154    
問 155    

 e-REC解説

問154 解答 1、2

1 正
観念奔逸(かんねんほんいつ)とは、考えが次々と生まれて多弁となったり話題が突然変化したりし、まとまりのない状態である。母親が「話していても、話の内容が次々と脱線し、話している内容がまとまらない」話していることから、観念奔逸の症状が認められる。

2 正
誇大妄想とは、自身が特別に優れていると思い込む妄想であり、患者自身が「偉大な発見をしたので、自分には特別な才能がある」と話していることから、誇大妄想の症状が認められる。

3 誤
心気妄想とは、自分は重大な疾患にかかっていると思い込む妄想であり、うつ状態で見られやすい三大微小妄想の一つであるが、本患者では該当する症状はみられない。

4 誤
罪業妄想とは、自分は罪深い人間だと思い込む妄想であり、うつ状態で見られやすい三大微小妄想の一つであるが、本患者では該当する症状はみられない。

5 誤
貧困妄想とは、事実とはかけ離れたレベルで自分にはお金がないと思い込む妄想であり、うつ状態で見られやすい三大微小妄想の一つであるが、本患者では該当する症状はみられない。


問155 解答 3、5

1 誤
炭酸リチウムは、イノシトール1-リン酸分解酵素を阻害し、ホスファチジルイノシトール(PI)代謝回転を抑制させるため、躁症状を改善する。

2 誤
ガバペンチンなどに関する記述である。オランザピンは、ドパミンD2受容体、セロトニン5-HT2受容体など多くの脳内受容体を遮断することで、双極性障害における躁症状及びうつ症状を改善する。

3 正
アリピプラゾールは、ドパミンD2受容体及びセロトニン5-HT1A受容体に対して部分刺激薬、セロトニン5-HT2受容体に対して遮断薬として作用することで、双極性障害における躁症状を改善する。

4 誤
バルプロ酸やビガバトリンに関する記述である。カルバマゼピンは、電位依存性Naチャネルを遮断し、神経細胞の過剰興奮を抑制することで、双極性障害における躁症状を改善する。

5 正
ラモトリギンは、電位依存性Na+チャネルを遮断し、神経細胞の過剰興奮を抑制することで、双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制に用いられる。

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