平成29年度 第102回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 161

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問 161  正答率 : 75.3%

 国家試験問題

国家試験問題
骨粗しょう症治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 デノスマブは、抗TNF−α(腫瘍壊死因子−α)抗体で、前駆細胞から破骨細胞への分化を抑制する。


2 テリパラチドは、カルシトニン受容体を刺激し、破骨細胞による骨吸収を抑制する。


3 ミノドロン酸は、メバロン酸経路のファルネシルニリン酸合成酵素を活性化し、骨芽細胞から骨細胞への分化を促進する。


4 カルシトリオールは、ビタミンD受容体を刺激し、腸管からのカルシウム吸収を促進する。


5 ラロキシフェンは、エストロゲン受容体に対し、骨組織ではエストロゲン様作用を示すが、乳房では抗エストロゲン作用を示す。

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問 161    

 e-REC解説

解答 4、5

1 誤
デノスマブは、ヒト抗RANKLモノクローナル抗体製剤であり、前駆細胞から破骨細胞への分化に関与するRANKLを特異的に阻害することで、破骨細胞の機能を低下させ骨吸収を抑制する。なお、RANKLはRANK(Receptor Activator of NF−κB:NF−κBを活性化する受容体)に結合するリガンド(L)であり、破骨細胞の分化及び活性化に関与する。

2 誤
テリパラチドは、副甲状腺ホルモン(パラトルモン)製剤であり、前駆細胞から骨芽細胞への分化促進作用、骨芽細胞のアポトーシス抑制作用により、骨芽細胞数を増加させ骨形成を促進する。なお、カルシトニン受容体刺激作用を有する骨粗しょう症治療薬は、エルカトニンである。

3 誤
ミノドロン酸はビスホスホネート製剤であり、骨のヒドロキシアパタイトに結合し破骨細胞に取り込まれることで、メバロン酸代謝経路のファルネシルピロリン酸(二リン酸)合成酵素を阻害する。その結果、破骨細胞の機能を抑制し、骨吸収抑制作用を示す。

4 正
カルシトリオールは、活性型ビタミンD3製剤であり、ビタミンD受容体を刺激し、腸管からのCa2+吸収及び腎でのCa2+再吸収を促進することで、血中Ca2+濃度を上昇させる。

5 正
ラロキシフェンは、選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)であり、骨のエストロゲン受容体を刺激することで骨吸収を抑制する。また、乳房や子宮においてはエストロゲン受容体を遮断するため、乳がんや子宮がんのリスクが少ない。

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