平成31年度 第104回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 202,203

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問 202  正答率 : 72.8%
問 203  正答率 : 60.0%

 国家試験問題

国家試験問題
73歳女性。体重48 kg。高血圧の既往症があり、現在、オルメサルタン口腔内崩壊錠を服用している。この女性は毎日、血圧を測定しており、その値は正常値の範囲内で安定している。最近、咳が止まらず近医を受診したところ、肺非結核性抗酸菌症と診断された。本人が以下の処方箋を持って来局した。

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問202(実務)
服薬指導として適切なのはどれか。2つ選べ。

1 尿が赤くなったら、リファンピシンをすぐに中止してください。


2 咳が止まれば、薬を飲みきらなくても大丈夫です。


3 物が見えにくいと感じたら、すぐにお知らせください。


4 服用後1週間ほどすると血圧がいつもより下がるので、ふらつきに気を付けてください。


5 水の様な下痢が起きたら、すぐにお知らせください。




問203(物理・化学・生物)
数日後、患者から尿が赤くなったという連絡があった。指導薬剤師は実務実習生になぜ尿が赤くなるのか、その理由について調べるように指導した。実習生は処方された3つの薬物の構造を調べ、尿の着色は、尿中に排出された処方薬の1つとその代謝物によるものであると推測した。そこで、その原因処方薬の紫外可視吸収スペクトルを調べたところ下図のようであった。以下の記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

スクリーンショット 2019-07-18 18.44.36.png

1 スペクトルの縦軸の吸光度は、透過率の逆数を表している。


2 このスペクトルの測定にはガラス製のセルが用いられる。


3 尿の着色の原因は、220 nmから270 nmの領域にみられる光の吸収によるものである。


4 335 nm付近のピークの波長の光の色は赤色である。


5 尿の着色の原因は、475 nm付近にピークを持つ青から緑色の光の吸収によるものである。

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問 202    
問 203    

 e-REC解説

問202 解答 3、5

1 誤
リファンピシンの投与により尿や便、唾液及び涙液などが橙赤色に着色することが認められている。これはリファンピシンやその代謝物の色であり、特に問題はないので服用は継続するよう指導する。

2 誤
耐性菌が出現する可能性があるため、症状がおさまっても処方された薬は最後まで飲みきるように指導する。

3 正
エタンブトールの重大な副作用に視力障害があるため、物が見えにくいと感じたら、すぐに知らせるよう指導する。

4 誤
服用後1週間で血圧を低下させる薬剤は処方されていない。そのため、服用後1週間ほどすると血圧がいつもより下がるので、ふらつきに気を付けるように指導するのは適切ではない。

5 正
抗菌薬のクラリスロマイシンを服用して、水様性下痢や粘血便が起きた場合、副作用の偽膜性大腸炎が疑われる。この場合は、投与を中止し適切な処置が必要であるため、水の様な下痢が起きたら、すぐに知らせるよう指導する。


問203 解答 5

1 誤
吸光度Aは、透過度(t)の逆数の常用対数

スクリーンショット 2019-07-18 18.44.05.png

で表すことができる。

2 誤
本測定はグラフの横軸(220~600 nm)より紫外線領域~可視光線領域の電磁波を用いていることがわかる。紫外線領域の測定の場合、ガラスが紫外線を吸収する性質を有するため、石英製セルを使用する。なお、可視光線領域の測定の場合、石英製セルもガラス製セルも使用できる。

3 誤
尿の着色は、可視光線領域(本測定では400〜600 nm)の吸収が原因で起こる。今回の場合、475 nm付近にピークを持つ青から緑色の光の吸収によるものと考えられる。

4 誤
335 nmの波長の光は紫外線領域(本測定では220〜400 nm)である。紫外線はヒトの目では色として認識されないため、尿の着色の原因にならない。

5 正
解説3参照

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