平成25年度 第98回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 202,203

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問 202  正答率 : 44.0%
問 203  正答率 : 54.6%

 国家試験問題

国家試験問題
10歳女児。上気道炎で、咳と痰がひどいため以下の薬剤が処方された。
スクリーンショット 2017-04-18 15.49.30.png

問202(実務)
この処方は組合せ水剤として交付することが望ましい。その理由として、正しいのはどれか。1つ選べ。

1 クレゾールスルホン酸が加水分解される。


2 ブロムへキシンが分解する。


3 デキストロメトルファンが分解する。


4 ブロムヘキシンとデキストロメトルファンとの複合体が析出する。


5 ブロムへキシンとクレゾールスルホン酸との複合体が析出する。




問203(物理・化学・生物)
日本薬局方ブロムヘキシン塩酸塩の定量法を以下に示す。        の中に入れるべき数値として、正しいのはどれか。1つ選べ。
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「本品を乾燥し、その約0.5 gを精密に量り、ギ酸2 mLに溶かし、無水酢酸60 mLを加え、50℃の水浴中で15分間加温し、冷後、0.1 mo1/L過塩素酸で滴定する(指示薬:クリスタルバイオレット試液2滴)。ただし、滴定の終点は液の紫色が青緑色を経て黄緑色に変わるときとする。同様の方法で空試験を行い、補正する。
0.1mo1/L過塩素酸1mL=       mg C14H20Br2N2・HCl」

1 20.63
2 41.26
3 82.52
4 103.1
5 206.3

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問 202    
問 203    

 e-REC解説

問202 解答 5

配合変化(2種類以上の薬剤を混合するときに起こる物理的・化学的変化)に関する問題である。アルカリ性と酸性の薬剤を混合すると、「酸−塩基反応」によって白濁・混濁・沈殿が生じることがあるので注意が必要である。問203の構造式からブロムヘキシンがアミン(塩基)であることがわかるので、酸との反応の記載がある選択肢5が正解であると推察できる。以下、詳細な解説である。

1-3 誤
エステルやアミドなどの加水分解されるような官能基はない。
スクリーンショット 2017-04-18 15.51.36.png

4 誤
どちらもアミンを含む塩基性の有機化合物であり、反応しないと考えられる。

5 正
ブロムヘキシンのアミン(塩基)部位とクレゾールスルホン酸のスルホ基が以下のような酸-塩基反応を起こす。有機物同士の塩は水に難溶性であることが多い。
スクリーンショット 2017-04-18 15.52.52.png



問203 解答 2

弱酸や弱塩基の中和滴定(酸塩基滴定)において、水の影響を排除するために無水酢酸などの非水溶媒を用いて行う滴定のことを、非水溶媒滴定(非水滴定)という。ブロムヘキシンなどのアミン類は一般に弱塩基であり、非水滴定を行う。弱塩基性の対象試料の定量には過塩素酸(酢酸溶液やジオキサン溶液)などが用いられる。
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ブロムヘキシンは2つのアミン部位を有するが、第一級アミンは無水酢酸と反応してアミドになることに注意。無水酢酸とは反応しない第三級アミン部位のみが酸-塩基滴定に関与する。すなわち、過塩素酸の1:1のモル比で反応する。
0.1mo1/L(= 0.1 mmol / mL)過塩素酸1mLには過塩素酸は、0.1 (mmol / mL)× 1 (mL) = 0.1 mmol 含まれている。これと1:1で反応するために必要なブロムヘキシンの物質量も0.1 mmolである。分子量412.59であるから、412.59 × 0.1 = 41.26 (mg) が正解である。

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