平成26年度 第99回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 215,216,217

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問 215  正答率 : 69.2%
問 216  正答率 : 45.6%
問 217  正答率 : 62.1%

 国家試験問題

国家試験問題
70歳女性。腰痛を訴え来院した。骨密度が低下していることが明らかになり骨粗しょう症と診断され、以下の薬剤が処方された。
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1年経過後の腰椎骨密度測定値は、若年成人平均値の65%で、半年前の値より3%下がっていた。さらに椎体骨折が1か所認められ、腰痛症状も改善されていなかった。そこで、以下の処方に変更となった。
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問215(実務)
処方1のアレンドロン酸錠の服薬指導で誤っているのはどれか。2つ選べ。

1 胃腸障害を起こしやすいので、服用後なるべく早く食事をとってください。


2 カルシウム、マグネシウム等の含量の高いミネラルウォーターでは飲まないようにしてください。


3 この錠剤は溶け易いので、少量の水で飲んでも構いません。


4 服用後少なくとも30分は横にならないでください。


5 服用を忘れて、朝食をとってしまった時は、翌朝の起床時に飲んでください。




問216(実務)
処方3のテリパラチド製剤に関する記述のうち、適切なのはどれか。2つ選べ。

1 使用開始後も冷蔵庫に入れて保存する。


2 注射は腹部又は大腿部に行う。


3 本剤はカルシトニン製剤である。


4 骨粗しょう症以外の代謝性骨疾患の患者にも使用できる。




問217(物理・化学・生物)
骨粗しょう症は、体内のカルシウム代謝と深く関わっている。生体のカルシウムイオン(Ca2+)濃度の調節に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 細胞膜にはATPの加水分解エネルギーを用いて細胞外にCa2+を排出するCa2+ポンプが存在する。
2 腸管からのCa2+の吸収は、カルシトリオール(活性型ビタミンD3)により促進される。
3 カルシトニンは骨吸収を促進し、血漿中へのCa2+遊離を増加させる。
4 腎臓に置けるCa2+の再吸収は、副甲状腺(上皮小体)ホルモンによって抑制される。

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問 215    
問 216    
問 217    

 e-REC解説

問215 解答 1、3

1 誤っている
アレンドロン酸錠は、食べ物、飲料、他の薬剤等に含まれる金属カチオン(カルシウム、マグネシウム等)とキレートを形成し、吸収低下を起こしやすい。よって、服用後30分は水以外の飲食を避ける必要がある。

2 正しい
解説1参照

3 誤っている
アレンドロン酸錠は食道潰瘍や食道炎など上部消化管障害を起こしやすいため、コップ一杯(約180 mL)程度の十分な量の水で服用し、服用後少なくとも30分は横にならないよう指導する。

4 正しい
解説4参照

5 正しい
アレンドロン酸錠は週1回服用する製剤であり、服用を忘れて朝食をとってしまった時は、その日の服用は中止して翌朝の起床時に服用する。


問216 解答 1、2

1 正
テリパラチド製剤は使用開始後も冷蔵庫に入れ、2℃〜8℃で凍結を避けて遮光保存する。

2 正
テリパラチド製剤は、皮下注射のみに使用する。注射部位は皮下脂肪の多い腹部及び大腿部とし、広範囲に順序よく移動して注射する。

3 誤
テリパラチド製剤は、ヒトパラトルモン(副甲状腺ホルモン)製剤である。

4 誤
テリパラチド製剤は、骨折の危険性の高い骨粗しょう症患者にのみ使用できる。


問217 解答 1、2

1 正
細胞膜にはCa2+ポンプが存在し、ATPの加水分解エネルギーを用いることで、濃度勾配に逆らって細胞外にCa2+を排出する。これによって、Ca2+濃度は細胞内より細胞外で高い状態を維持している。

2 正
カルシトリオール(活性型ビタミンD3)は小腸上皮細胞に存在する核内受容体に結合することにより、Ca2+結合タンパク質の産生を促進し、腸管からのCa2+の吸収を促進する。

3 誤
カルシトニンは、血漿中Ca2+濃度の上昇によって甲状腺ろ胞細胞から分泌されるホルモンであり、骨吸収抑制や腎尿細管からのCa2+再吸収抑制を介して血漿中Ca2+濃度を低下させる。

4 誤
副甲状腺(上皮小体)ホルモン(パラトルモン)は、骨吸収促進作用や腎臓におけるCa2+の再吸収促進作用をもち、血漿中Ca2+濃度を増加させる。

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