令和05年度 第108回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 216,217

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問 216  正答率 : 75.4%
問 217  正答率 : 77.3%

 国家試験問題

国家試験問題
30歳男性。2月から突然のくしゃみ、鼻水、目のかゆみが出始め、仕事にも集中できなくなり、翌月に近所の耳鼻科医院を受診した。その場で、簡便なアレルギー検査を行うことになった。
この検査キットは、抗原抗体反応を利用したクロマトグラフィーの原理を用いている。患者の血液サンプルを用いた約20分の検査で、ハウスダスト系(ヤケヒョウヒダニ、ゴキブリ、ネコ皮屑、イヌ皮屑)、花粉系(スギ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ)の計8種類のアレルゲンに対するアレルギーの有無を判定できる。
図の検体(血液)滴下部にこの患者の血液サンプルを滴下して5分待ち、続いて展開液滴下部にキットの展開液を滴下して15分待ち、判定部に出現するバンドを確認したところ、下図のように、C(コントロール)以外に1本のバンドが認められた。

スクリーンショット 2023-07-19 16.23.54.png


問216(物理・化学・生物)
採取した患者の血液中に含まれる成分で、このアレルギー検査で測定されたのはどれか。1つ選べ。

1 スギ花粉(アレルゲン)


2 抗ヒトIgE抗体


3 スギ花粉に特異的なIgE


4 スギ花粉に特異的なIgG


5 IgEに特異的なFc受容体




問217(実務)
その後、詳細な検査も行い、患者はスギ花粉症と診断され、薬物療法による治療を受けていた。患者から薬を服用すると眠気があり仕事に差し支えることが多いとの訴えがあったので、医師はスギ花粉飛散シーズン後に舌下免疫療法を勧めていた。
今回、舌下免疫療法による治療が開始されることになり、以下の処方箋を持って薬局を訪れた。なお、初回である翌朝の分は処方した耳鼻科医の前で服用する予定である。また、薬剤師は、この処方医が舌下免疫療法に関する講習を終了していることを確認した。

スクリーンショット 2023-07-19 16.25.19.png

この患者への舌下免疫療法に関する説明として誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 舌の下に薬を置き、保持した後、飲み込みます。


2 服用前後は、激しい運動を避けてください。


3 スギ花粉症に対する治療薬で、すべてのアレルギーに対して有効とはいえません。


4 口の中に傷や炎症があるとき、医師や薬剤師に相談してください。


5 この薬は、次回から段階的に成分量を減らしていきます。

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問 216    
問 217    

 e-REC解説

問216 解答 3

本問のアレルギー検査で使用したアレルギー迅速検査キットは、イムノクロマトグラフィー(抗原抗体反応を利用したクロマトグラフィー)の原理を用いた検査キットである。本問の検査キットでは、患者の全血、血清又は血漿中に存在する各種のアレルゲンに対する特異的IgEを測定し、測定結果を目視にて確認することができる。
問題に図示された本患者の検査結果では判定部のスギの部分にバンドが認められることから、本患者の血液中にはスギ花粉に特異的なIgEが含まれていることがわかる。


問217 解答 5

シダキュアスギ花粉舌下錠は、スギ花粉エキス原末を有効成分とするスギ花粉の舌下免疫療法(減感作療法)に用いられる薬物である。舌下免疫療法は、アレルゲンを段階的に増量して投与していくことにより、アレルゲンに曝露された場合に引き起こされるアレルギー症状の発現を抑制する治療法である。

1 正しい
本剤は1日1回舌下に薬を置き、1分間保持した後、飲み込む。また、服用後5分間は、うがいや飲食を控える必要がある。

2 正しい
本剤服用前及び服用後2時間は、激しい運動、アルコール摂取、入浴等を避け、また、服用後2時間以降にこれらの行動を行う場合にもアナフィラキシー等の副作用の発現に注意することとされている。

3 正しい
本剤はスギ花粉症に対する治療薬であるため、他のアレルギーに対して効果は期待できない。

4 正しい
本剤の投与時、口腔内の状態によっては本剤の吸収に影響を与えるおそれがある。また、本剤が傷や炎症部位に刺激を与えるおそれもある。そのため、本剤は口腔内の状態を十分観察した後、投与の可否を判断することとされている。

5 誤っている
舌下免疫療法は、アレルゲンを段階的に増量して投与していくことにより、アレルゲンに曝露された場合に引き起こされるアレルギー症状の発現を抑制する治療法であるため、本患者には「次回から成分量を増やします」と説明する必要がある。

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