令和06年度 第109回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 238,239

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問 238  正答率 : 83.5%
問 239  正答率 : 91.1%

 国家試験問題

国家試験問題
70歳男性。同居している息子夫婦に付き添われて来局。20歳の頃より喫煙習慣があり(ブリンクマン指数:1,200)、現在も1日に10本程度喫煙している。また職業上の粉じん曝露歴があった。数年前より労作時の息切れが出現し、徐々に症状が悪化したために近医を受診し、慢性閉塞性肺疾患(COPD)と診断され、以下の処方が出された。

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問238(実務)
処方薬の注意すべき主な副作用はどれか。2つ選べ。

1 排尿障害


2 徐脈


3 口腔内カンジダ症


4 下痢


5 口渇




問239(衛生)
この男性は現在も喫煙を続けていることから、息子夫婦から、喫煙が健康に及ぼす影響を父親に説明してほしいとの依頼があった。薬剤師がこの男性に対して行う、「喫煙と健康」に関して説明する内容として適切なのはどれか。2つ選べ。

1 COPDの最大のリスク要因は喫煙である。


2 受動喫煙は虚血性心疾患や脳卒中のリスクを高める心配はない。


3 たばこの発がん物質は主流煙に多く含まれており、副流煙にはほとんど存在しない。


4 能動喫煙の防止を目的として、健康増進法が制定されている。


5 喫煙によって薬物代謝酵素が誘導され、効果に影響が出る薬もある。

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問 238    
問 239    

 e-REC解説

問238 解答 1、5

本患者に処方されたチオトロピウム臭化物は、気管支拡張作用を目的とした吸入抗コリン薬である。代表的な副作用として副交感神経抑制作用に伴う口渇や排尿障害がある。


問239 解答 1、5

1 正
COPD(慢性閉塞性肺疾患)は別名「たばこ病」とも呼称される疾患であり、リスク要因として90%以上が喫煙、その他大気汚染なども原因となる。

2 誤
受動喫煙が原因となる疾患として、COPD以外にも、肺がんや虚血性心疾患、脳血管障害などがある。

3 誤
副流煙とは、火のついたたばこの先から立ち上る煙のことを指し、フィルターを介して吸入する主流煙に比べ、発がん物質が多く含まれる。

4 誤
2020年健康増進法が「望まない受動喫煙の防止」を目的に改正された。

5 正
たばこの煙に含まれる多環芳香族炭化水素により、薬物代謝酵素(CYP1A2)が誘導される。例えば、CYP1A2で代謝されるテオフィリンは、喫煙の影響により血中濃度が低下する。

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