令和07年度 第110回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 240,241

Pin Off  未ブックマーク   
問 240  正答率 : 62.9%
問 241  正答率 : 49.3%

 国家試験問題

国家試験問題
2歳8ヶ月女児。1週間前から腹痛を訴えることがあり、今朝になって、嘔吐したため、近医を受診した。母親からの聞き取りでは、日頃から鉛を含む金属製アクセサリーを舐める癖があり、誤飲したおそれがあるとのことであった。レントゲン検査では異物は見当たらなかった。尿中のδ-アミノレブリン酸濃度は10 mg/Lと高値であった。また、血液検査では有核赤血球数の増加がみられ、赤血球遊離プロトポルフィリン濃度は180 µg/dL(基準値30〜86 µg/dL)、原子吸光光度計で測定した血中鉛濃度は75 µg/dLであった。

問240(実務)
薬剤師が医師に提案する解毒薬として適切なのはどれか。2つ選べ。

1 EDTAカルシウム二ナトリウム


2 ホメピゾール


3 メチレンブルー


4 亜硝酸アミル


5 ジメルカプロール(BAL)




問241(衛生)
ヘムの生合成経路を表した下図中の1〜5のうち、この女児の中毒原因物質によって抑制される反応はどれか。2つ選べ。

スクリーンショット 2025-07-10 12.55.27.png

 解説動画作成を要望!

 解答を選択

問 240    
問 241    

 e-REC解説

問240 解答 1、5

本患者は日頃から鉛を含む金属製アクセサリーを舐める癖があり、尿中のδ-アミノレブリン酸濃度10 mg/L(基準値:5.0 mg/L以下)、赤血球遊離ポルフィリン濃度180 µg/dL(基準値:30〜86 µg/dL)、血中鉛濃度75 µg/dL(基準値:10 µg/dL以下)であることから鉛中毒を発症していると考えられる。鉛中毒の症状には、貧血、消化器症状、神経症状などがある。

1 正
EDTAカルシウム二ナトリウムは、鉛による中毒の解毒に用いられる。

2 誤
ホメピゾールは、エチレングリコールやメタノールによる中毒の解毒に用いられる。

3 誤
メチレンブルーは、アニリンによる中毒の解毒に用いられる。

4 誤
亜硝酸アミルは、シアン化合物による中毒の解毒に用いられる。

5 正
ジメルカプロール(BAL)は、鉛、ヒ素、水銀、銅などによる中毒の解毒に用いられる。


問241 解答 2、5

鉛は、ヘム合成系のδ-アミノレブリン酸脱水酵素(δ-ALA脱水酵素)活性を阻害する。また、鉛は、Fe3+からFe2+への還元を阻害し、Fe2+の供給を低下させることでプロトポルフィリンⅨにFe2+を付加する酵素であるフェロキラターゼの活性を阻害する。

スクリーンショット 2025-07-10 12.56.56.png

 Myメモ - 0 / 1,000

e-REC 過去問解説システム上の [ 解説 ] , [ 解説動画 ] に掲載されている画像・映像・文章など、無断で複製・利用・転載する事は一切禁止いたします