平成30年度 第103回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 242,243

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問 242  正答率 : 51.4%
問 243  正答率 : 74.4%

 国家試験問題

国家試験問題
梅雨の時期、雨の降る日が多かったため、学校薬剤師が小学校の屋外プール水について水質検査を実施することにした。

問242(衛生)
過マンガン酸カリウム消費量を以下の操作により測定した。この測定から求められる過マンガン酸カリウム消費量(mg/L)の値に最も近いのはどれか。1つ選べ。
ただし、過マンガン酸カリウム溶液とシュウ酸ナトリウム溶液のファクターを1.0、KMnO4の式量を158とする。

【操作】
検水100 mLをとり、これに過マンガン酸カリウム処理硫酸溶液5.0 mLを加え、さらに0.0020 mol/L過マンガン酸カリウム溶液10 mLを正確に加えた。5分間煮沸した後、ただちに0.0050 mol/Lシュウ酸ナトリウム溶液10 mLを加えて脱色させ、さらに0.0020 mol/L過マンガン酸カリウム溶液で微紅色が消えずに残るまで滴定したところ、3.2 mLを要した。

1 1.0


2 3.0


3 10


4 30


5 100




問243(実務)
過マンガン酸カリウム消費量に加え、学校薬剤師が行うプール水における水質検査項目はどれか。2つ選べ。

1 生物化学的酸素要求量(BOD)


2 結合残留塩素


3 遊離残留塩素


4 pH


5 アンモニア

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問 242    
問 243    

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問242 解答 3

過マンガン酸カリウム消費量は、水中の酸化されやすい物質(被酸化性物質)との反応によって消費されるKMnO4の量を表した物であり、滴定法によって求められる。
本操作の概要を以下に示す。
スクリーンショット 2018-09-05 12.42.08.png


①有機物と過剰量の過マンガン酸カリウム(KMnO4)が反応し、有機物と未反応のKMnO4が残存する。
②残存した未反応のKMnO4とシュウ酸ナトリウムが反応し、KMnO4と未反応のシュウ酸ナトリウムが残存する。
③未反応のシュウ酸ナトリウムを0.0020 mol/L KMnO4溶液で滴定する。
このとき、KMnO4溶液の滴定量と、有機物と反応したKMnO4溶液量が等しくなるため、滴定量から過マンガン酸カリウム消費量(mg/L)を求めることができる。

本操作における、過マンガン酸カリウム消費量(mg/L)は以下のように求められる。
0.0020 mol/L KMnO4溶液の滴定量と被酸化性物質と反応した0.0020 mol/L KMnO4溶液(f※=1.0)の溶液量は等しくなるため3.2 mLとなり、物質量に換算すると0.0020 mol/L×3.2 mL×1.0=0.0064 mmolとなる。
これを、質量に換算すると、0.0064 mmol×158 mg/mmol≒1.01 mgとなる。
本操作では、検水100 mLをとり、測定しているため1 Lあたりに換算すると、過マンガン酸カリウム消費量(mg/L)は1.01(mg/100 mL)=10.1(mg/L)となる。
※f(ファクター)とは、標準液の規定されたモル濃度からのずれを表す。滴定法では被験物質の量を求める際に、消費量にfを乗じることで濃度のずれを補正する。


問243 解答 3、4

水泳プールに係る学校環境衛生基準は、学校保健安全法において以下のように定められている。
スクリーンショット 2018-09-05 12.45.38.png

したがって、本問の選択肢のうち、過マンガン酸カリウム消費量に加え、学校薬剤師が行うプール水における水質検査項目には、遊離残留塩素とpH値がある。

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