令和06年度 第109回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 242,243

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問 242  正答率 : 77.2%
問 243  正答率 : 67.7%

 国家試験問題

国家試験問題
ある市立中学校で、線状降水帯による大雨のため床下浸水の被害が発生し、休校となった。この学校では、市から供給される水道水のみを水源とし、地下の受水槽に一旦貯めたのちに、高置水槽に揚水して給水栓に飲料水を供給している。学校を再開するにあたり、臨時検査として給水栓の飲料水の水質を検査することになり、学校薬剤師が以下の項目について検査を行った。

検査項目:一般細菌、大腸菌、塩化物イオン、全有機炭素(TOC)の量、pH値、味、臭気、色度、濁度及び遊離残留塩素

下表は学校薬剤師が採水時に測定した項目及び検査機関で測定した項目の検査結果である。直近の定期検査は災害の2ヶ月前に実施したものである。

スクリーンショット 2024-07-08 12.05.27.png


問242(衛生)
検査を行った項目のうち、次の試薬A〜Cを用いる項目の組合せとして正しいのはどれか。1つ選べ。

スクリーンショット 2024-07-08 12.12.07.png



問243(実務)
この検査結果から、薬剤師が学校に報告する内容として適切なのはどれか。2つ選べ。

1 臨時検査において一般細菌が検出されていることから、地下の受水槽に汚染された雨水などが流入したおそれがある。


2 塩化物イオン濃度と大腸菌の検査結果から、地下の受水槽がし尿で汚染されたおそれがある。


3 定期検査及び臨時検査のいずれにおいてもTOCが検出されていることから、災害の前から高置水槽で藻類による汚染が発生していたと考えられる。


4 定期検査の結果と比較して、臨時検査ではpH値が低下しているため、遊離残留塩素の消毒効果が減弱したと考えられる。


5 臨時検査において遊離残留塩素が学校環境衛生基準を満たしていないため、飲料に適さない。

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問 242    
問 243    

 e-REC解説

問242 解答 4

試薬AはN,N-ジエチル-p-フェニレンジアミン(DPD)であり、残留塩素の検査に用いられる。試薬Bは4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルクロニド(MUG)であり、大腸菌の検査に用いられる。試薬Cは硝酸銀であり、塩化物イオンの検査に用いられる。


問243 解答 1、5

学校環境衛生基準における水道水の水質基準において、一般細菌:100個/mL以下、大腸菌:検出されないこと、塩化物イオン:200 mg/L以下、全有機炭素(TOC):3 mg/L以下、pH:5.8以上8.6以下、味・臭気:異常でないこと、色度:5度以下、濁度:2度以下、遊離残留塩素0.1 mg/L以上とされている。検査結果より、直近の定期検査においては水質基準を満たしているが、臨時検査においては一般細菌が2,800個/mL、遊離残留塩素が0.05 mg/Lであり水質基準を満たしていないことから、大雨により地下の受水槽が汚染されたおそれがあり、このままでは飲料に適さない。

1 正
前記参照

2 誤
大腸菌はし尿汚染の確定項目であり、し尿汚染の有無は大腸菌の有無で確定する。直近の定期検査、臨時検査いずれの結果においても、大腸菌が検出されていないため、し尿汚染はないと考えられる。

3 誤
直近の定期検査、臨時検査いずれの結果においても、TOCは基準値内であることから、災害前から高置水槽で汚染が発生していたとは考えにくい。

4 誤
遊離残留塩素は、次亜塩素酸(HClO)と次亜塩素酸イオン(ClO)があり、消毒効果はHClOの方が高い。pH値が低い水道水においてはHClOの割合が増加するため、臨時検査時(pH6.5)は、定期検査時(pH7.2)と比較して、遊離残留塩素の消毒効果は増強していると考えられる。

5 正
前記参照

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