平成29年度 第102回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 252,253

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問 252  正答率 : 78.9%
問 253  正答率 : 58.0%

 国家試験問題

国家試験問題
20歳女性。統合失調症と診断され、3ヶ月間、薬物治療が継続されていた。副作用は特にみられなかったが症状が改善されないため、主治医はクロルプロマジン塩酸塩錠を1日300 mgから450 mgへ増量した。
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問252(実務)
この患者において注意すべき副作用の早期発見のために、薬剤師が患者や家族にあらかじめ説明する症状として、適切でないのはどれか。1つ選べ。

1 強い眠気


2 起床時の立ちくらみ


3 手の震えや体のこわばり


4 歯ぐきの腫れ


5 視野の狭窄や物の見えにくさ




問253(薬理)
この処方が引き起こす可能性がある副作用について、その発現機序はどれか。2つ選べ。

1 アンギオテンシンⅡAT1受容体遮断により歯肉肥厚が起こる。


2 アセチルコリンM3受容体遮断により眼圧亢進が起こる。


3 ヒスタミンH1受容体遮断により眠気が起こる。


4 アドレナリンα1受容体遮断により錐体外路障害が起こる。


5 ドパミンD2受容体遮断により起立性低血圧が起こる。

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問 252    
問 253    

 e-REC解説

問252 解答 4

クロルプロマジンは、フェノチアジン系統合失調症治療薬であり、ドパミンD受容体遮断作用、アドレナリンα1受容体遮断作用、ムスカリン性アセチルコリン受容体遮断作用、ヒスタミンH1受容体遮断作用などを有する。

1 適切
本剤のヒスタミンH1受容体遮断作用による中枢抑制作用により、強い眠気が生じることがある。

2 適切
本剤のアドレナリンα1受容体遮断作用によってノルアドレナリンによる血管収縮作用が抑制されるため、起床時の立ちくらみが生じることがある。

3 適切
本剤のドパミンD2受容体遮断作用により、手の震えや体のこわばりなどの錐体外路障害が生じることがある。

4 不適切
本剤により歯ぐきの腫れが起こるとの報告はない。なお、副作用として、歯ぐきの腫れを起こす薬物として、抗てんかん薬であるフェニトインや、カルシウムチャネル遮断薬であるニフェジピンなどがある。

5 適切
本剤のムスカリン性アセチルコリン受容体遮断作用により、アセチルコリンによる瞳孔括約筋及び毛様体筋収縮作用が抑制されるため、焦点調節機能の異常や眼圧亢進が生じる。これによって視野の狭窄や物が見えにくくなることがある。


問253 解答 2、3
前問参照

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