平成30年度 第103回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 256,257

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問 256  正答率 : 60.5%
問 257  正答率 : 68.3%

 国家試験問題

国家試験問題
50歳女性。頻尿、排尿痛があり泌尿器科を受診し、尿道炎と診断され処方(処方1)が出された。同日、歯科にて抜歯し処方(処方2)が出され、近くの薬局にて処方1と処方2の薬を受け取った。4日後薬局に電話をかけ、「もらった薬は決められたように飲んでいる。痛み止めは昨日まで7回飲んだ。昨日から太ももが痛く、今日は、手足がだるく、足に力が入らず歩けないため仕事を休んだ。このまま薬を服用していいか。」と相談した。来局時、お薬手帳は持参しておらず、聞き取りでは「薬の名前は覚えていないが、他の薬局でもらった骨の薬と、コレステロールの薬と、胃薬を飲んでいる。」とのことであった。そこで、薬剤師が電話口でこの女性にお薬手帳を確認してもらったところ、1年ほど前から他の薬局にて調剤された薬剤を継続服用していることが明らかになった。薬剤師は薬物相互作用を疑い、直ちに処方医に連絡をした。
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問256(薬理)
次の作用様式のうち、この患者が服用した5つの薬物のいずれかの作用機序に当てはまるのはどれか。2つ選べ。

1 核内受容体刺激


2 Gタンパク共役型受容体遮断


3 DNA複製阻害


4 細菌のリボソームでのタンパク質合成阻害


5 タンパク分解酵素阻害




問257(実務)
薬剤師が薬物相互作用の原因と考えた薬剤はどれか。2つ選べ。

1 アルファカルシドールカプセル


2 ポラプレジンク口腔内崩壊錠


3 シンバスタチン錠


4 クラリスロマイシン錠


5 ロキソプロフェンナトリウム水和物錠

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問 256    
問 257    

 e-REC解説

問256 解答 1、4

本患者が服用している薬物の作用機序は、以下の通りである。

・クラリスロマイシン:細菌リボソーム50Sサブユニットに結合することで、細菌のリボソームでのタンパク質合成を阻害することで、抗菌作用を示す。
・ロキソプロフェン:投与後活性代謝物に変換され、シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することでプロスタグランジン合成を抑制し、抗炎症作用を示す。
・アルファカルシドール:投与後肝臓で25位が水酸化されることで活性型ビタミンD3(VD3)に変換され、核内のVD3受容体を刺激して腸管からのCa2+吸収を促進することにより、骨吸収抑制作用などを示す。
・ポラプレジンク:胃の防御因子増強薬であり、潰瘍面の保護、活性酸素の消去などにより胃粘膜保護作用を示す。
・シンバスタチン:ヒドロキシメチルグルタリルCoA(HMG−CoA)還元酵素を競合的に阻害することで、肝臓におけるコレステロール合成低下作用を示す。


問257 解答 3、4

本患者は、1年前からシンバスタチンを服用しており、「昨日から太ももが痛く、今日は、手足がだるく、足に力が入らず歩けないため仕事を休んだ。」と訴えていることから、シンバスタチンの副作用である横紋筋融解症の発症が疑われる。また、歯科にて処方された薬物であるクラリスロマイシンは、シンバスタチンの代謝酵素であるCYP3A4阻害作用を有するため、シンバスタチンの代謝を抑制し、副作用の発現頻度を増加させる恐れがあるため併用注意となっている。
以上のことから、本患者の訴えは、シンバスタチン錠とクラリスロマイシン錠の薬物相互作用が原因であると考えられる。

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