平成24年度 第97回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 262,263

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問 262  正答率 : 72.7%
問 263  正答率 : 63.9%

 国家試験問題

国家試験問題
56歳男性。骨髄内臍帯血移植が行われた。移植後、真菌感染症が疑われ、以下の処方について主治医から医薬品情報管理室に相談があった。
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問262(実務)
主治医からの相談に対する医薬品情報管理室の薬剤師の対応として、誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 添付文書によりアムホテリシンBリポソーム製剤の用法・用量を確認した。


2 アムホテリシンBリポソーム製剤の調製法と注意点を伝えた。


3 医薬品適正使用のために、真菌感染症の診断が確定した後で処方するように提案した。


4 投与中に発熱、悪寒、悪心などが発現した場合、点滴を一時中断し、患者の様子を見るように伝えた。


5 副作用防止のため、腎機能、肝機能、血清電解質の検査を定期的に行うように提案した。




問263(薬理)
アムホテリシンBに関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

1 エルゴステロール生合成を阻害し、真菌細胞膜合成を抑制する。


2 真菌細胞膜のエルゴステロールに結合し、真菌細胞膜を障害する。


3 真菌細胞壁を構成するβ-グルカン生合成を阻害する。


4 真菌細胞内でフルオロウラシルに変換され、真菌のDNA及びRNA合成を阻害する。


5 スクアレンエポキシダーゼを活性化し、エルゴステロールの分解を促進させ、 真菌細胞膜を障害する。

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問 262    
問 263    

 e-REC解説

問262 解答 3

1 正しい

2 正しい
アムホテリシンの調整法では、「バイアル中に注射用水を加えたあと直ちに振とうし、均一な黄色の半透明の液になるまで激しく振り混ぜる点」や、「溶解にあたっては注射用水のみ使用する」、「希釈にあたっては、必ず5%ブドウ糖注射液を使用する」など、複雑な点が多いため、薬剤師として調整法と注意点を主治医に伝えなければならない。

3 誤っている
真菌感染症が疑われる場合、起炎菌の特定を待つと症状が悪化する可能性が高い。そのため、アムホテリシン投与開始後に、起炎菌が適応菌種でないことが判明した場合や効果がない場合に、他の薬剤への変更を検討する。

4 正しい
発熱、悪寒、悪心などの投与時関連反応が発現した場合は、点滴を一時中断し、患者の様子をみながら点滴速度を遅らせて投与を再開するなどの措置をとる。投与時関連反応の予防あるいは治療法には、点滴速度を遅らせるか、ジフェンヒドラミン、アセトアミノフェン及びヒドロコルチゾン等の投与が有効であるとの報告がある。

5 正しい
アムホテリシンの毒性に対する感受性は、患者によって個体差があるため、定期的に腎機能、肝機能、血清電解質の検査を行うなど、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量、休薬等の適切な処置を行う。


問263 解答 2

アムホテリシンは、ポリエン系抗真菌薬であり、真菌細胞膜のエルゴステロールに結合し、真菌細胞膜機能を障害することで抗真菌作用を示す。

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