平成26年度 第99回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 268,269

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問 268  正答率 : 78.5%
問 269  正答率 : 65.6%

 国家試験問題

国家試験問題
32歳女性。消化器外来に通院中。数日前からじん麻疹を発症し、抗アレルギー薬が追加処方されることになった。担当医師から薬剤師に対して、「患者がなるべく眠くならない薬剤を希望しているが、推奨できるものは何か」と問い合わせがあった。

問268(実務)
薬剤師が推奨すべき抗アレルギー薬として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

1 シプロヘプタジン塩酸塩水和物


2 エバスチン


3 フェキソフェナジン塩酸塩


4 セチリジン塩酸塩


5 ホモクロルシクリジン塩酸塩




問269(薬剤)
図は薬物の血液脳関門透過速度と1−オクタノール/水分配係数の関係を示したものである。前問で選択した薬物について、正しい記述はどれか。1つ選べ。
ただし、B群の薬物においては血液脳関門透過速度と分子量で補正した分配係数との間に、図に示す直線関係がみられている。
スクリーンショット 2017-04-06 13.35.51.png


1 アミノ酸やグルコースなどの栄養物質と同様にA群に属する。


2 B群に属し、血液脳関門透過はpH分配仮説に従う。


3 B群に属し、脳内への移行にトランスポーターが関与している。


4 レボドパやバクロフェンと同様にC群に属する。


5 C群に属し、P−糖タンパク質によって脳内への移行が妨げられる。

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問 268    
問 269    

 e-REC解説

問268 解答 3

設問に、担当医師から「患者がなるべく眠くならない薬剤を希望しているが、推奨できるものは何か」と問い合わせがあったとのことから、選択肢より最も眠気のでない抗アレルギー薬を選択する必要がある。
選択肢にある薬物のうち、シプロヘプタジン塩酸塩水和物とホモクロルシクリジン塩酸塩は、第一世代抗ヒスタミン薬であり、中枢抑制作用に基づく眠気を起こしやすいため、推奨できない。エバスチン、フェキソフェナジン塩酸塩、セチリジン塩酸塩は第二世代抗ヒスタミン薬であり、第一世代抗ヒスタミン薬に比べて中枢抑制作用が弱く眠気を起こしにくい。その中でも、フェキソフェナジンは中枢移行性が低く(血液脳関門に存在するP糖タンパク質により、脳内への移行が妨げられる)、眠気をほとんど起こさないという特徴を有する。このため、フェキソフェナジンを推奨すべきである。


問269 解答 5

血液脳関門透過速度と分配係数の関係は、薬物の特徴により、問題のグラフにあるようにA群、B群、C群にわけることができる。

A群の薬物
分配係数が小さい(水溶性)であるにも関わらず、血液脳関門透過速度が速いことから、担体により血液脳関門を透過している可能性が高い。
B群の薬物
分配係数が大きく(脂溶性)なるにつれて、血液脳関門透過速度が速くなっていることから、受動拡散により血液脳関門を透過している可能性が高い。
C群の薬物
分配係数が大きい(脂溶性)であるにも関わらず、血液脳関門透過速度が遅いことから、P糖タンパク質により、脳内への移行が妨げられる可能性が高い。

フェキソフェナジンは、P糖タンパク質により、脳内への移行が妨げられる薬物であるため、C群の薬物に該当する。

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