平成24年度 第97回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 272,273

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問 272  正答率 : 51.8%
問 273  正答率 : 61.3%

 国家試験問題

国家試験問題
50歳男性。てんかん治療のため以下の処方に従い服薬を続けている。定常状態時の血清中フェニトイン濃度を測定したところ12 µg/mLであり、てんかん発作は安定している。
スクリーンショット 2019-10-03 17.26.03.png

問272(実務)
この治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 過量投与により、眼振、構音障害、運動失調、眼筋麻痺などの症状が出現することがあるので十分観察する。


2 フェニトインの薬理作用は、血清タンパク質と結合していない遊離形濃度ではなく、総血清中濃度と関連する。


3 定期的に肝・腎機能検査、血液検査を行うことが望ましい。


4 用量を増加させると、腎尿細管分泌が飽和するため、用量と血清中濃度の関係は非線形となる。




問273(薬剤)
定常状態におけるフェニトインの体内からの消失速度はMichaelis−Menten式で表される。この患者における最大消失速度(mg/day)に最も近い値はどれか。1つ選べ。ただし、Michaelis定数を8 mg/L、バイオアベイラビリティを100%とする。

1 150
2 240
3 420
4 1,500

5 2,400


6 4,200

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問 272    
問 273    

 e-REC解説

問272 解答 1、3

1 正
フェニトインの過量投与により、眼振、構音障害、運動失調、眼筋麻庫などの症状が出現することがある。このような症状があらわれた場合には、血中濃度を測定し、有効血中濃度域になるまで投与量を減量する必要がある。

2 誤
フェニトインの薬理作用は、血清タンパク質と結合していない遊離形薬物濃度と関連する。

3 正
フェニトイン投与中は、定期的に肝・腎機能、血液検査を行うことが望ましい。

4 誤
フェニトインの用量を増加させると、肝代謝の飽和が生じるため、用量と血清中濃度の関係は非線形となる。


問273 解答 3

Michaelis-Menten式は、①式で表される。
スクリーンショット 2017-04-28 15.16.01.png
経口投与時の投与速度は、②式で表される。
スクリーンショット 2017-04-28 15.16.10.png
定常状態では、投与速度は消失速度と等しい。また、設問より、1日当たりの投与量Dは250 mg(=2.5 g(製剤量)×0.10=0.25 g=250 mg)、定常状態血清中濃度は12 µg/mL、Michaelis定数は8 mg/L、バイオアベイラビリティFは100%である。
以上のことから、①式、②式を用いて最大消失速度Vmax(mg/day)を以下のように求めることができる。
スクリーンショット 2017-04-28 15.16.19.png
よって、この患者のVmaxに最も近い値は、420 mg/dayとなる。

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