令和05年度 第108回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 280,281

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問 280  正答率 : 53.3%
問 281  正答率 : 76.1%

 国家試験問題

国家試験問題
26歳女性。身長155 cm、体重42 kg。アレルギー性鼻炎に対して処方1の薬剤を服用している。今回、下血があり外来受診したところ、潰瘍性大腸炎(直腸炎型)の診断を受けた。なお、重症度分類では軽症であった。医師は、患者からこれまで薬を飲み忘れることが多かったとの訴えがあったため、メサラジンの処方にあたり、本患者に適切な製剤について、医薬品情報管理室に問い合わせた。薬剤師は、アドヒアランスを考慮して処方2を提案した。

スクリーンショット 2023-07-20 14.47.42.png

[添加剤]
カルメロースナトリウム、カルナウバロウ、ステアリン酸、含水二酸化ケイ素、
デンプングリコール酸ナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、
メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーS、クエン酸トリエチル、
酸化チタン、三二酸化鉄、マクロゴール6000

問280(実務)
処方2を提案するにあたり、医師に説明する内容のうち、適切なのはどれか。2つ選べ。

1 メサラジン注腸剤と併用しない。


2 処方2の薬物のTDMを行う。


3 再生不良性貧血を起こすことがある。


4 粉砕して投与可能である。


5 定期的に大腸がん検査を行う。




問281(薬剤)
処方2の製剤投与後の薬物動態を把握するため、添付文書を確認したところ、健康成人における空腹時経口単回投与時の24時間までの平均血漿中未変化体薬物濃度の時間推移は下図のようであった。

スクリーンショット 2023-07-20 14.52.33.png

処方2の製剤の添加剤のうち、本剤投与後、図中Aに示された血漿中薬物濃度の推移が観察されることと最も関連の深いのはどれか。1つ選べ。

1 カルメロースナトリウム


2 カルナウバロウ


3 ステアリン酸マグネシウム


4 メタクリル酸コポリマーS


5 マクロゴール6000

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問 280    
問 281    

 e-REC解説

問280 解答 3、5

1 誤
メサラジン注腸剤とリアルダ錠(メサラジン経口剤)の併用は可能である。ただし、メサラジンとしての総投与量が増加することを考慮し、特に肝又は腎機能の低下している患者並びに高齢者等への投与に際しては適宜減量するなど、十分に注意する必要がある。併用時に異常が認められた場合には、減量又は中止するなどの適切な処置を行うこととされている。

2 誤
リアルダ錠は、TDM対象外の薬物である。

3 正
再生不良性貧血、汎血球減少症などがあらわれることがあるので、リアルダ錠の投与期間中は血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察することとされている。

4 誤
本剤は徐放性製剤であり、粉砕しコーティングや素錠部分が破損した状態で服用すると、本剤の製剤的有効性が損なわれることになるため、粉砕して投与しないこととされている。

5 正
潰瘍性大腸炎患者は、健常者に比べて大腸がんの発症リスクが高いため、定期的に大腸がん検査を行う。


問281 解答 4

本剤投与後、図中Aに示された血漿中薬物濃度の推移が観察されることと最も関連の深いのはメタクリル酸コポリマーSであると考えられる。
グラフより、設問中の固形製剤の平均血漿中未変化体薬物濃度は、投与開始後3時間程度まではほぼ0 ng/mLであり、3時間を過ぎたあたりより平均血漿中未変化体薬物濃度が上昇している。
このことから、固形製剤服用後すぐに吸収が始まらず、一定時間経ってから主薬が吸収されたことがわかる。選択肢の添加剤の中で、服用後一定時間経ってから、主薬が吸収される可能性がある添加剤として、腸溶性コーティング剤であるメタクリル酸コポリマーSが挙げられる。腸溶性コーティング剤は、経口投与後、小腸下部に到達するまで一定時間溶解しないため、その間主薬も溶解せず吸収が行われない。
なお、カルメロースナトリウムは結合剤、カルナウバロウは分散剤、ステアリン酸マグネシウムは滑沢剤、マクロゴール6000は分散剤などに用いられる。

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