令和02年度 第105回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 288,289

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問 288  正答率 : 56.5%
問 289  正答率 : 72.4%

 国家試験問題

国家試験問題
28歳女性。日頃から月経による出血量が多く、痛みも強い。食事は炭水化物中心で不規則だった。3ヶ月前から階段を上がるときに息切れを感じていたが、運動不足と寝不足が原因と考え、放置していた。2週間前より動悸、息切れ、めまいなどの自覚症状が増強した。かかりつけ医を受診したところ、顔面や眼瞼結膜の蒼白などの他覚症状が認められ、血液検査でヘモグロビン値7.2 g/dL、赤血球数260万/µLであった。下記の薬剤が処方され来局した。

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薬局の薬剤師は患者から、膝の外傷部の化膿に対して整形外科からセフジトレンピボキシル錠と耐性乳酸菌製剤が処方され、数日前から服用中であることを聴取した。

問288(実務)
薬剤師の患者への対応として正しいのはどれか。2つ選べ。

1 鉄剤は耐性乳酸菌の効果を低下させるので、服用時刻をずらすよう説明する。


2 肉類や緑黄色野菜の摂取を心がけるよう勧める。


3 鉄剤の服用を開始してもすぐには症状が改善しないが、服用を続けるよう説明する。


4 鉄剤をお茶で服用すると、鉄の吸収が過剰になることを説明する。


5 クエン酸第一鉄ナトリウムはセフジトレンピボキシルの吸収を低下させるので、服用時刻をずらすよう説明する。




問289(病態・薬物治療)
薬物治療によってヘモグロビン値が11.6 g/dL、赤血球数が390万/µLとなった。改善が期待できる臨床所見として適切なのはどれか。2つ選べ。

1 点状出血


2 歩行障害


3 スプーン状爪


4 舌炎


5 脾腫

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問 288    
問 289    

 e-REC解説

問288 解答 2、3

本患者は、日頃から月経による出血量が多いという背景、動悸・息切れ・めまいや顔面や眼瞼結膜の蒼白などの症状、血液検査でヘモグロビン値7.2 g/dL、赤血球数260万/µLと共に低値を示していること、またクエン酸第一鉄ナトリウム錠が処方されていることから、鉄欠乏性貧血を発症していると考えらえる。なお、鉄欠乏性貧血の治療では、鉄の補充が原則である。

1 誤
クエン酸第一鉄ナトリウムのような鉄剤が、耐性乳酸菌の効果を低下させるという報告はない。

2 正
レバーなどの肉類や、ほうれん草などの緑黄色野菜には鉄が多く含まれているため、摂取を心がけるよう勧める。

3 正
一般的に、鉄欠乏性貧血の治療において、鉄剤の服用を開始してから症状が改善するまで1〜2ヶ月を要する。

4 誤
鉄剤をお茶で服用すると、お茶に含まれるタンニン酸とキレートを形成し、鉄の吸収が低下するため、鉄剤を服用する際は水などで服用するよう説明する。

5 誤
クエン酸第一鉄ナトリウムのような鉄剤が、セフジトレンピボキシルの吸収を低下させるという報告はない。なお、鉄剤と同時に服用することで、キレートを形成し吸収が低下するセフェム系抗菌薬はセフジニルである。


問289 解答 3、4

鉄欠乏性貧血では、本症例で認められている症状の他に鉄不足症状として、爪の変形によるスプーン状爪や、舌炎、口角炎などを生じることがある。なお、本疾患に認められる症状は、鉄の補充によるヘモグロビン値、赤血球数の回復に伴い、改善傾向を示していく。

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