令和03年度 第106回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 296,297

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問 296  正答率 : 54.3%
問 297  正答率 : 71.3%

 国家試験問題

国家試験問題
50歳男性。5年前に病院の循環器内科で僧帽弁閉鎖不全症を指摘され、外来で経過観察中であった。2ヶ月前に歯肉炎のため歯科で処置を行った後、持続性の発熱、全身倦怠感、腰痛及び四肢に点状出血を認めたため、精査目的で入院となった。聴診により心尖部で収縮期雑音が聴取された。また、血液培養によって、Streptococcus salivarius(緑色レンサ球菌の一種)が同定され、薬剤感受性試験を行ったところ、以下のような結果が得られた。

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問296(実務)
この患者に投与する抗菌薬と投与期間の組合せとして、適切なのはどれか。1つ選べ。

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問297(病態・薬物治療)
この患者の入院時の検査結果として、妥当なのはどれか。2つ選べ。

1 心エコー検査で、疣贅(ゆうぜい)(疣種(ゆうしゅ))が認められる。


2 血液検査で、赤血球沈降速度(赤沈、ESR)が遅延している。


3 血液検査で、γ−グロブリン濃度が低下している。


4 血液検査で、CRP値が上昇している。


5 冠動脈造影検査で、血管閉塞が認められる。

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問 296    
問 297    

 e-REC解説

問296 解答 1

・僧帽弁閉鎖不全症のようなジェット血流を生じる基礎疾患を有すること
・歯科処置後に持続性の発熱、全身倦怠感などの感染症状や四肢の点状出血などの塞栓症状を認めていること
・聴診により心尖部で収縮期雑音が聴取されていること
・血液培養でStreptococcus salivarius(緑色レンサ球菌の一種)が同定されていること
以上から、本患者は感染性心内膜炎を発症していると推測される。
治療には原則4週間以上の抗菌薬投与を行う。なお、起因菌によって選択する抗菌薬を下記に示す。
・ベンジルペニシリン感受性(Sensitive)のレンサ球菌の場合はベンジルペニシリン
・ベンジルペニシリン低感受性のレンサ球菌の場合はベンジルペニシリン+ゲンタマイシン
・メチシリン感受性黄色ブドウ球菌の場合はセファゾリン+ゲンタマイシン
・メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の場合はバンコマイシン
本症例は、血液培養において緑色レンサ球菌(ベンジルペニシリン感受性)が同定されているため、投与する抗菌薬と投与期間の組合せとしては、ベンジルペニシリンの4週間投与が適切である。


問297 解答 1、4

1 正
感染性心内膜炎では、血栓内部に病原性微生物が定着した塊(疣贅(ゆうぜい)(疣種(ゆうしゅ)))が形成され、これの剥離が塞栓症を引き起こす誘引となる。

2 誤
感染性心内膜炎のような炎症性疾患では、血液検査にて赤血球沈降速度(赤沈、ESR)亢進、CRP値上昇、γ−グロブリン濃度上昇などの炎症所見がみられる。

3 誤
解説2参照。

4 正
解説2参照。

5 誤
冠動脈造影検査において血管閉塞が認められるのは、心筋梗塞などの虚血性心疾患である。本症例では、胸痛や息苦しさなどの虚血性心疾患の症状は見られないため、冠動脈閉塞の可能性は低い。

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