平成29年度 第102回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 300,301

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問 300  正答率 : 78.0%
問 301  正答率 : 69.9%

 国家試験問題

国家試験問題
62歳女性。3年前に悪性リンパ腫と診断され、R-CHOP療法が施行された。R-CHOP療法施行直前の検査で肝機能検査値に異常はなかった。R-CHOP療法4コースを終了後、定期的に通院していたが、あるときALT 742 U/L、AST 1,354 U/Lと上昇したため入院した。エンテカビルの投与によりALT及びASTは低下した。本人に確認したところ、10年前の献血時にHBc抗体陽性を指摘されていたことが判明した。

問300(実務)
本症例に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

1 本症例の悪性リンパ腫は、Hodgkinリンパ腫である。


2 ALT及びASTの上昇は悪性リンパ腫の再発に起因する可能性が高い。


3 R-CHOP療法により、肝組織が直接障害され、ALT及びASTが上昇した。


4 R-CHOP療法開始後にHBVに再感染した可能性が高い。


5 R-CHOP療法によりHBVが再活性化した可能性が高い。




問301(病態・薬物治療)
HBVが原因のB型肝炎に関する記述として、正しいのはどれか。1つ選べ。

1 HBワクチンは感染予防には有効ではない。


2 性行為による感染はない。


3 IgM型HBc抗体は肝炎の後期に現れる。


4 初感染で自然治癒するのは半数以下である。


5 HBs抗体は肝炎の病態が終息した後に上昇する。

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問 300    
問 301    

 e-REC解説

問300 解答 5

R-CHOP療法は、リツキシマブ、シクロホスファミド水和物、ドキソルビシン塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩、プレドニゾロンを併用した、悪性リンパ腫の一種である非ホジキンリンパ腫の薬物療法である。
このうちリツキシマブは、B型肝炎ウイルスキャリア患者に対して投与を行った際に、HBV再活性化によるB型肝炎の再燃で死亡例が報告されており、本症例もこれが原因と考えられる。


問301 解答 5

1 誤
HBワクチンは、乳幼児期に計3回接種させHBc抗体を産生させることで、B型肝炎の感染を予防する。

2 誤
HBVの主な感染経路は、性感染、血液感染、母子感染などの非経口感染である。

3 誤
IgM型HBc抗体は肝炎感染の初期に上昇し、その後IgG型HBc抗体が上昇する。

4 誤
HBVは初感染時には症状は一過性で、ほぼ不顕性感染で自然治癒する。

5 正
HBs抗体は、HBVに対する完全中和抗体で、肝炎の病態が終息した後に上昇する。

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