平成28年度 第101回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 302,303

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問 302  正答率 : 64.5%
問 303  正答率 : 81.1%

 国家試験問題

国家試験問題
23歳女性。体重60 kg。てんかん発作に対してフェニトイン1日150 mgで治療を開始した。2週間後の受診で、治療開始後もてんかん発作が起こったとの訴えがあった。アドヒアランスは良好であった。血中濃度測定を行ったところ5.0 µg/mLであり、医師より薬剤師に増量の目安について相談があった。肝機能、腎機能に異常はなく、フェニトインの血中濃度に影響を及ぼす併用薬はなかった。

問302(実務)
本症例でフェニトインの投与設計を行うにあたり、体内からの消失速度はミカエリス・メンテンの式に従い、Km=5.0 µg/mLであると仮定した。このとき、血中濃度が定常状態において中毒域(20 µg/mL以上)にならない範囲での、1日最大投与量(mg)の推定値に最も近いのはどれか。1つ選べ。

1 200


2 225


3 325


4 450


5 650




問303(病態・薬物治療)
前問で計算した投与量で治療を続けていたが、中毒症状を発現したため血中濃度を測定したところ30 µg/mLであった。原因として考えられる患者の遺伝的特徴はどれか。1つ選べ。

1 CYP2D6の変異型遺伝子をもつ。


2 CYP2C9の変異型遺伝子をもつ。


3 CYP2C19の野生型遺伝子をもつ。


4 CYP3A5の野生型遺伝子をもつ。


5 UGT1A1の変異型遺伝子をもつ。

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問 302    
問 303    

 e-REC解説

問302 解答 2

フェニトインの体内からの消失速度は、下記のミカエリス・メンテンの式に従う。
スクリーンショット 2016-09-29 10.19.16.png

定常状態の場合、消失速度=投与速度(150 mg/日)となるため、
スクリーンショット 2016-09-29 10.19.22.png

となる。
次に、血中濃度が中毒域(20 µg/mL)になる際の1日最大投与量を求めると、
スクリーンショット 2016-09-29 10.19.30.png

となる。
したがって、選択肢中で中毒域にならない範囲での1日最大投与量(mg)の推定値に最も近いのは、選択肢2の225 mg/日となる。


問303 解答 2

CYPは薬物代謝酵素であり、CYPの変異遺伝子をもつと、薬物の代謝への影響により血中濃度に変動が生じてしまう。
フェニトインは、主にCYP2C9によって代謝されるため、本患者の中毒症状の発現は、CYP2C9の変異型遺伝子をもつことで、フェニトインの代謝が通常よりも低下しているためと考えられる。

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