平成30年度 第103回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 306,307

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問 306  正答率 : 87.5%
問 307  正答率 : 55.1%

 国家試験問題

国家試験問題
69歳女性。皮膚科を受診し、四肢の皮膚湿疹に対して以下の処方せんを持ち、初めてこの薬局を訪れた。薬剤師が薬を取りそろえる前にお薬手帳で併用薬を確認したところ、女性はラタノプロスト点眼液を処方されていた。なお、副作用歴やアレルギー歴は無いとのことであった。女性は今回の処方薬を初めて使用する。
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問306(法規・制度・倫理)
処方監査に基づく疑義照会について正しいのはどれか。2つ選べ。

1 処方に誤りがあり、疑義があったにもかかわらず、薬剤師が疑義照会をせず、そのため患者に健康被害が発生した場合、処方医が損害賠償責任を負うが、薬剤師は負わない。


2 疑義照会は、処方医でなくても医師に行えばよい。


3 処方せん中に法令に定められた事項が記載されていない場合には、疑義照会を行わなければならない。


4 患者がお薬手帳を持参しない場合には、併用薬はないものとして疑義の有無を判断する。


5 疑義照会による医師からの回答の内容は処方せんに記入しなければならない。




問307(実務)
これらの処方の疑義照会において、変更を提案すべき処方はどれか。1つ選べ。

1 処方1
2 処方2
3 処方3
4 処方1と処方2
5 処方1と処方3

6 処方2と処方3

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問 306    
問 307    

 e-REC解説

問306 解答 3、5

1 誤
薬剤師は、処方箋中に疑わしい点があるときは、その処方箋を交付した医師に問い合わせて、その疑義を確かめた後でなければ、調剤してはならない。本問のように処方に誤りがあり、疑義があったにもかかわらず、薬剤師が疑義照会をせず、そのため患者に健康被害が発生した場合は調剤過誤にあたり、処方医だけでなく薬剤師も損害賠償責任を負う可能性がある。

2 誤
疑義照会は、処方医に対して行わなければならない。

3 正
処方せん中に法令に定められた事項が記載されていない場合には、疑義照会を行わなければならない(解説1参照)。

4 誤
患者がお薬手帳を持参しない場合には、併用薬等を患者に確認し、疑義の有無を判断する必要がある。

5 正
疑義照会による医師からの回答の内容は処方せんに記入しなければならない。


問307 解答 1

この患者は、ラタノプロスト点眼剤を使用しており、緑内障であることが推測される。
処方1のベタメタゾン・d−クロルフェニラミンマレイン酸塩配合錠は、抗コリン作用を有するため、服用することにより眼圧が上昇し、緑内障が悪化するおそれがあるため禁忌である。よって、処方変更を提案すべきである。
処方2のエピナスチン塩酸塩錠20 mgは、第二世代の抗ヒスタミン薬であり、抗コリン作用が比較的弱いため、併用禁忌ではない。
処方3のベタメタゾン吉草酸エステル軟膏0.12%は、副腎皮質ステロイド性薬であり、重大な副作用として、眼瞼皮膚への使用により眼内圧亢進、緑内障を起こすことあるが、本患者の場合には四肢の皮膚湿疹に対して処方されているため、処方医への変更の提案は不要である。
また、本患者のお薬手帳に記載されているラタノプロスト点眼液及び処方1、処方2、処方3の各医薬品の相互作用は知られていないため、これらの併用について、処方医への変更の提案は不要である。
したがって、変更を提案すべきなのは、処方1だけである。

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