令和06年度 第109回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 306,307

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問 306  正答率 : 68.6%
問 307  正答率 : 84.7%

 国家試験問題

国家試験問題
厚生康太(こうせい こうた)氏、75歳男性。身長170 cm、体重65 kg。一過性脳虚血発作で入院し、再発予防目的でプラビックス錠(注)25 mgが1回2錠、1日1回の処方で服薬開始となった。2023年7月1日に起床時のふらつきと意識障害をきたし、近医へ救急搬送され、緊急入院となった。入院時の血糖値33 mg/dL、入院翌日の空腹時血糖値14 mg/dL、血中インスリン濃度127.5 µIU/mL(基準値2.7〜10.4)であった。プラビックス錠は入院直後に中止された。検査の結果、患者はプラビックス錠の副作用であるインスリン自己免疫症候群と診断された。入院7日後には検査所見、自覚症状ともに改善した。薬剤師は医薬品・医療機器等安全性情報報告制度に基づき、医薬品安全性情報報告書を作成するとともに、実務実習中の薬学部学生にも報告書の作成の練習をしてもらうこととした。
(注)プラビックス錠:クロピドグレル硫酸塩錠

問306(法規・制度・倫理)
本報告制度に基づく報告を行うことは、医薬品の安全対策を講じていくために重要である。副作用の報告に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 薬剤師は、製造販売業者が行う副作用情報の収集に協力するよう努めなければならない。


2 薬剤師は、本報告制度により、知り得た副作用はすべて報告しなければならない。


3 薬剤師は、本報告制度による報告を行う場合、患者の同意を得なければならない。


4 製造販売業者は、自社が関与していない医薬品に関する副作用の情報を入手した場合も報告しなければならない。


5 患者が自身の副作用を疑った場合、患者自ら独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に報告することができる。




問307(実務)
薬学部学生がこの患者のインスリン自己免疫症候群について作成した、下図の医薬品安全性情報報告書案を指導薬剤師が確認したところ、不適切な記載を1ヶ所発見した。それはどれか。1つ選べ。

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問 306    
問 307    

 e-REC解説

問306 解答 1、5

医薬品医療機器等安全性情報報告制度とは、薬局開設者、病院等の開設者又は医師、歯科医師、薬剤師等の医薬関係者が、医薬品等について、当該品目の副作用等によるものと疑われる疾病、障害若しくは死亡の発生又は当該品目の使用によるものと疑われる感染症の発生に関する事項を知った場合において、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときに、その旨を厚生労働大臣(独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に情報の整理を行わせている場合はPMDA)に報告する制度である。

1 正
薬局開設者、病院等の開設者又は医師、歯科医師、薬剤師等の医薬関係者は、医薬品等の製造販売業者等が行う医薬品等の適正使用に必要な情報の収集(副作用・不具合等の情報収集)に協力するよう努めなければならない。

2 誤
本報告制度では、医薬関係者が、医薬品等の副作用等の発生を知った場合において、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときに報告するものであり、知り得た副作用のすべてを報告するものではない。

3 誤
本報告制度における個人情報の取扱いは、個人情報の保護に関する法律による第三者提供の制限の適用が除外されているため、患者本人の同意を得る必要はない。

4 誤
医薬品等の製造販売業者は、その製造販売をし、又は製造販売の承認を受けた医薬品等について、当該品目の副作用その他の事由によるものと疑われる疾病等の発生や当該品目の使用によるものと疑われる感染症の発生等のうち、厚生労働省令で定めるものを知ったときは、その旨を厚生労働大臣(独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に情報の整理を行わせている場合はPMDA)に報告する必要がある。これを企業報告制度という。
企業報告制度では、当該製造販売業者が製造販売をし、又は製造販売の承認を受けた医薬品等の情報は報告するが、自社が関与していない医薬品に関する副作用の情報等を入手しても報告する義務はない。

5 正
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)では、患者のみならずその家族からも医薬品による副作用報告を受け付けており、その報告を整理し、厚生労働大臣に報告している。


問307 解答 3

1 適切
プラビックス錠(クロピドグレル硫酸塩錠)は、処方箋医薬品(医療用医薬品のうち、医師等からの処方箋の交付を受けた者以外の者に対して、正当な理由なく、販売・授与してはならない医薬品)であるため、適切な記述である。

2 適切
本患者(厚生康太)は男性であり、患者イニシャルについても「KK」であるため、適切な記述である。

3 不適切
プラビックス錠の副作用であるインスリン自己免疫症候群により救急搬送され、緊急入院となったことから、「副作用等の重篤性」の欄は「重篤」にチェックを入れるべきであり、重篤の判定基準の該当する番号は⑤とするべきである。

4 適切
本患者の症状は、プラビックス錠の副作用であるインスリン自己免疫症候群であると診断されていることから、適切な記述である。

5 適切
本患者の症状は、プラビックス錠の副作用と診断されているため、被疑薬の記載は適切である。

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