令和05年度 第108回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 320,321

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問 320  正答率 : 94.5%
問 321  正答率 : 84.6%

 国家試験問題

国家試験問題
86歳女性。誤嚥性肺炎で入院し、栄養障害もあったため経鼻経管栄養を実施し退院した。本人の希望により娘の介助のもとで在宅にて療養をしている。薬局薬剤師が在宅訪問を行うにあたり、介護支援専門員から、「本人より、経管栄養をやめてほしいという要望がある。」と報告された。一方、在宅訪問の際、家族からは「なんとか元気になってほしいので、経管栄養を続けてほしい。」との意向を聴取した。

問320(実務)
薬剤師の対応として、適切なのはどれか。2つ選べ。

1 患者より家族の意見を優先すべきなので、介護支援専門員からの報告は考慮しなかった。


2 経管栄養をやめてほしいという意思について、再度患者に確認し、何故そのように思ったのか聞き取りをした。


3 患者の意思に従って、薬剤師が経管栄養の管を抜去した。


4 医師や在宅医療に関わる多職種と情報共有し、患者や家族と話し合った。


5 担当医師の方針に同意しなければ、在宅医療を継続できないことを患者に伝えた。




問321(法規・制度・倫理)
この患者の要望の様な患者の意思及び自己決定を尊重する考え方について述べている、世界医師会総会が採択した宣言はどれか。1つ選べ。

1 ヘルシンキ宣言


2 ジュネーブ宣言


3 バルセロナ宣言


4 リスボン宣言


5 世界人権宣言

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問 320    
問 321    

 e-REC解説

問320 解答 2、4

1 誤
家族の意見(経管栄養の継続)は尊重すべきであるが、介護支援専門員からの報告にある患者の意見(経管栄養の中止)も考慮する必要があるため、薬剤師は両者の意見に寄り添いながら最善の医療を模索する必要がある。

2 正

3 誤
経管栄養の管の抜去を行うかどうかを、薬剤師の判断で決定及び実行してはならない。

4 正

5 誤
患者が担当医師の方針に同意できない場合、薬剤師は患者の意思を尊重して、その理由を担当医師等の関係者と情報共有する必要がある。


問321 解答 4

1 誤
ヘルシンキ宣言は、1964年に行われた第18回世界医師会総会が採択した「ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則」に関する宣言である。

2 誤
ジュネーブ宣言は、1948年に行われた第2回世界医師会総会が採択した「医の倫理」に関する宣言であり、古代ギリシャで作られた医師の職業倫理について書かれたヒポクラテスの誓いを時代に沿うようにしたものである。

3 誤
バルセロナ宣言は、1998年に欧州連合に対して提言された「生命倫理と生命法における倫理原則」である。

4 正
リスボン宣言は、1981年に行われた第34回世界医師会総会が採択した「患者の権利」に関する宣言である。

5 誤
世界人権宣言は、1948年に行われた第3回国際連合総会が採択した「基本的人権尊重の原理」に関する宣言である。

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