平成29年度 第102回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 324,325

Pin Off  未ブックマーク   
問 324  正答率 : 63.1%
問 325  正答率 : 78.9%

 国家試験問題

国家試験問題
70歳男性。高血圧症で処方1を服用していた。ある日胸部不快感を自覚し、かかりつけのクリニックを受診した。心房細動の疑いがあることから、精査目的で市内の総合病院を紹介され受診したところ、心房細動、心不全と診断され、処方2が追加となった。
スクリーンショット 2018-01-11 21.23.14.png

問324(実務)
処方2に含まれるダビガトランエテキシラートによる重篤な副作用である出血の回避や投与量の調節のために考慮すべき検査項目はどれか。1つ選べ。

1 血清クレアチニン値


2 AST値


3 白血球数


4 PT-INR値


5 脳性Na利尿ペプチド値




問325(法規・制度・倫理)
重篤な副作用を回避するための確認は行われていたものの、後日、この男性に重大な副作用が発現した。
薬剤師は主治医と相談のうえ、この男性の副作用について、医薬品・医療機器等安全性情報報告制度に基づき報告することを決めた。下図は、記入途中の医薬品安全性情報報告書の一部である。この制度の説明として、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 この男性の場合、厚生労働大臣への報告期限は、発生を知った日から30日以内である。


2 添付文書などから予測できない未知の症例についても報告する。


3 患者情報のうち、アに記載された内容は、公開されることはない。


4 イの項目はすべて記入しなければならない。


5 クリニックで処方された(処方1)の薬剤も、ウに記載する。



スクリーンショット 2018-01-11 21.21.59.png

 解説動画作成を要望!

 解答を選択

問 324    
問 325    

 e-REC解説

問324 解答 1

ダビガトランエテキシラートは、腎消失型薬剤であり、腎障害患者において血中濃度が増大し重大な副作用である出血が起こりやすいことなどから、添付文書等においては腎機能の指標であるクレアチニンクリアランスに基づいて禁忌や用法・用量が設定されている。そのため、副作用の回避や投与量の調節のために考慮すべき検査項目は、クレアチニンクリアランス算出に用いられる血清クレアチニン値である。


問325 解答 2、5

1 誤
医薬品・医療機器等安全性情報報告制度には、報告の必要性を認めた場合において速やかに報告することとされているが、特に明確な報告期限は定められていない。なお、厚生労働大臣への報告期限が発生を知った日から15日又は30日と定められているのは、企業報告制度と感染症報告制度である。

2 正
医薬品・医療機器等安全性情報報告制度で報告するべきものは、医薬品、医療機器又は再生医療等製品の使用による副作用、感染症又は不具合の発生(医療機器及び再生医療等製品の場合は、健康被害が発生するおそれのある不具合も含む。)について、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止する観点から報告の必要があると判断した情報であり、医薬品、医療機器又は再生医療等製品との因果関係が必ずしも明確でない場合も含まれる。そのため、添付文書などから予測できない未知の症例についても報告する必要がある。

3 誤
報告された情報については、安全対策の一環として広く情報を公表することがあり、アに記載された情報についても患者のプライバシー等に関する部分を除き一部公開されることがある。

4 誤
医薬品安全性情報報告書は、すべて記入しなければならないという規定はないが、可能な限り記入することが望ましい。

5 正
ウの記入欄は、併用薬に関するものであり、相互作用による副作用発生の可能性もあるため、クリニックで処方された(処方1)の薬剤も記載する必要がある。

 Myメモ - 0 / 1,000

e-REC 過去問解説システム上の [ 解説 ] , [ 解説動画 ] に掲載されている画像・映像・文章など、無断で複製・利用・転載する事は一切禁止いたします