令和05年度 第108回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 326

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問 326  正答率 : 44.1%

 国家試験問題

国家試験問題
36歳男性。身長172 cm、体重61 kg。アルコール性肝硬変による末期肝不全に対して、妻をドナーとして生体肝移植術が施行された。術後4週間で退院し、退院2週間後1回目の診察において、退院時処方は処方1に変更されるとともに処方2も追加された。退院6週間後3回目となる今回の診察において、タクロリムス及びエベロリムスの血中濃度が前回に比べて上昇していた。退院当日から今回までの検査値等の推移と患者からの今回の聞き取り内容を示す。

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以上の経過から、薬剤師のアセスメントとして誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 口内炎は、エベロリムスの副作用である。


2 スウィーティーを食べたことにより、エベロリムスの血中濃度が上昇した。


3 エベロリムスの併用によりタクロリムスの血中濃度が上昇した。


4 足のむくみは、タクロリムスの副作用である。


5 ST配合錠の継続はエベロリムスの血中濃度の上昇と無関係である。

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問 326    

 e-REC解説

解答 3

本患者の退院後の経過を下記に示す。

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上記経過をふまえた薬剤師のアセスメントの一例を挙げる。

受診3日前のスウィーティー(柑橘類の一種)の摂取により、小腸の薬物代謝酵素であるCYP3A4が阻害され、CYP3A4により代謝されるタクロリムス及びエベロリムスの血中濃度が前回に比べて上昇し、その結果として、タクロリムスの副作用である足のむくみや、エベロリムスの副作用である口内炎が発現したと考えられる。
なお、選択肢3及び選択肢5に関して、併用薬同士の相互作用が原因となる場合は、薬剤を併用している退院2週間後から退院4週間後の期間において、血中濃度が大きく上昇すると考えられるが、本患者の退院4週間後の血中濃度に異常が認められないため、タクロリムス及びエベロリムスの血中濃度の上昇に併用薬同士の相互作用は無関係であると考えられる。

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