平成29年度 第102回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 91

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問 91  正答率 : 62.6%

 国家試験問題

国家試験問題
以下の化学反応式における熱力学的パラメータに関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
スクリーンショット 2017-10-07 13.20.58.png

ただし、この反応における温度をT、平衡定数をK、反応速度定数をk1k2とする。また、気体定数をRとする。

1 この反応の標準自由エネルギー差ΔG °は、ΔG °=-RT lnKで表すことができる。


2 いくつかの温度で測定した平衡定数から、反応の標準エンタルピー変化(ΔH °)を求めることができる。


3 ΔH °が正のときは吸熱反応となり、温度を上げると平衡が左にずれる。


4 反応速度定数k1は、exp(-Ea/RT)に比例する。なお、Eaは一般に活性化エネルギーといわれる。


5 活性化エネルギーが高いほど反応速度に対する温度の影響は大きい。

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問 91    

 e-REC解説

解答 3

1 正しい
標準自由エネルギー差ΔG °と絶対温度(T )、平衡定数(K )、気体定数(R )の関係は①式で表すことができる。
ΔG °=-RT lnK…… ①

2 正しい
ΔG °と標準エンタルピー(ΔH °)、標準エントロピー(ΔS °)、Tの関係は②式で表すことができる。
ΔG °=ΔH °-TΔS °…… ②
これをΔG °=-RT lnKの式に代入すると、③式で表すことができる。
スクリーンショット 2017-10-07 13.21.45.png
これをもとに、縦軸に平衡定数の対数(lnK )、横軸に絶対温度の逆数(1/T )をプロットすると右上がりあるいは左上がりの直線が得られ、このプロットをファントホッフプロット(van’t Hoffプロット)という。ファントホッフプロットの傾き(-ΔH °/R)から標準エンタルピー変化量(ΔH °)を求めることができる。
スクリーンショット 2017-10-07 13.23.15.png

3 誤っている
解説2のグラフ参照。
ΔH °が正のときは吸熱反応となり、温度を上げた場合、平衡が右にずれる(平衡は左から右に傾く)。

4 正しい
反応速度定数(k)とTの関係は④式で表すことができる。
スクリーンショット 2017-10-07 13.25.10.png
よって、反応速度定数k1は、exp(-Ea/RT)に比例する。

5 正しい
アレニウス式より、縦軸に反応速度定数の対数(lnk)、横軸に絶対温度の逆数(1/T )をプロットすると傾きが-Ea/RTの右下がりの直線(Arrhenius plot)が得られる。
スクリーンショット 2017-10-07 13.28.50.png
グラフより活性化エネルギーが高い(Ea(大))ほど、反応速度に対する温度の影響は大きい。

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