令和04年度 第107回 薬剤師国家試験問題
一般 理論問題 - 問 94

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問 94  正答率 : 51.9%

 国家試験問題

国家試験問題
生体膜の膜電位は、膜の両側におけるイオン濃度の不均衡によって生じる。そのイオン濃度の不均衡は、生体膜が水や小さいイオンは通すが、大きなイオンは通さない半透膜の性質をもつことで生じる。

スクリーンショット 2022-06-14 12.42.48.png


図のように、半透膜の内相にタンパク質P5-(-5の電荷をもち5Naが対イオンとなっている)の0.01 mol/L水溶液を置き、外相には濃度が0.1 mol/LのNaCl水溶液を置いておく。平衡状態に達したとき、半透膜の外相と内相のNaとClの濃度には次式が成立している。

[Na]外相・[Cl]外相 = [Na]内相・[Cl]内相

平衡に達したときの半透膜の内相と外相のNa濃度の差に最も近い値はどれか。1つ選べ。ただし、浸透圧差に基づく物質の移動は考慮しないものとする。

1 0.01 mol/L


2 0.03 mol/L


3 0.05 mol/L


4 0.07 mol/L


5 0.09 mol/L

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問 94    

 e-REC解説

解答 2

(初期状態の各イオンの濃度)
半透膜の外相は、濃度が0.1 mol/LのNaCl水溶液であるため、半透膜の外相のNa濃度、Cl濃度ともに0.1 mol/Lとなる。
半透膜の内相は、濃度が0.01 mol/Lのタンパク質P5-水溶液であり、タンパク質P5-は5Naが対イオンとなっているため、半透膜の内相のNa濃度は、0.01 mol/L×5=0.05 mol/Lとなる。また、半透膜の内相にClは存在しないため、半透膜の内相のCl濃度は0 mol/Lとなる。

(平衡状態到達時の各イオンの濃度)
初期状態から平衡に達した際のNa+の濃度変化をX(mol/L)とおくと、電気的中性の原理により、Clの濃度変化もX(mol/L)となるため、平衡状態に達したときの半透膜の外相と内相のNaとClの濃度は以下の通りである。

[Na]外相:0.1-X mol/L、[Cl]外相:0.1-X mol/L、[Na]内相:0.05+X mol/L、[Cl]内相:X mol/L

問題文より、 [Na]外相・[Cl]外相 = [Na]内相・[Cl]内相 が成り立つため、

(0.1-X)・(0.1-X)=(0.05+X)・X

上式より、X=0.04 mol/Lとなる。
したがって、平衡に達したときの半透膜の内相と外相のNa濃度の差は、

[Na]内相 -[Na]外相=0.09-0.06=0.03 mol/Lとなる。

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