平成26年度 第99回 薬剤師国家試験問題
一般 実践問題 - 問 252,253

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問 252  正答率 : 60.0%
問 253  正答率 : 56.0%

 国家試験問題

国家試験問題
37歳女性。脂質異常症のため病院で以下の薬剤が処方されている。
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問252(薬理)
ピタバスタチンなどのスタチン系薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoA(HMG−CoA)還元酵素を非競合的に阻害する。
2 肝細胞膜表面の低密度リポタンパク質(LDL)受容体を増加させ、血中からのLDLコレステロール取り込みを促進する。
3 血中トリグリセリド濃度には影響しない。
4 肝細胞以外で高密度リポタンパク質(HDL)受容体を増加させ、血中HDLコレステロールを低下させる。
5 重大な副作用として、横紋筋融解症を引き起こすことが報告されている。


問253(実務)
この患者が、自宅で熱傷を負い緊急受診し、抗菌薬を投与されることとなった。担当医師より抗菌薬の選択について問い合わせがあった。ピタバスタチンカルシウム錠との併用において、薬物動態上、注意を要する抗菌薬はどれか。1つ選べ。

1 レボフロキサシン水和物
2 クリンダマイシン塩酸塩
3 エリスロマイシンステアリン酸塩
4 セフカペンピボキシル塩酸塩
5 アジスロマイシン水和物

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問 252    
問 253    

 e-REC解説

問252 解答 2、5

1 誤
ピタバスタチンなどのスタチン系薬は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoA(HMG−CoA)還元酵素を競合的に阻害し、コレステロールの生合成を抑制する。

2 正
ピタバスタチンなどのスタチン系薬は、肝でのコレステロール生合成阻害により肝臓内コレステロール量を低下させる。これによって肝細胞膜表面の低密度リポタンパク質(LDL)受容体が増加し、血中からのLDLコレステロール取り込みが亢進する。

3 誤
ピタバスタチンなどのスタチン系薬は、持続的なコレステロール生合成阻害により血液中へのVLDL分泌量を減少させ、間接的に血中トリグリセリド濃度を低下させる。

4 誤
ピタバスタチンなどのスタチン系薬は、血中HDLコレステロールを上昇させる。

5 正
ピタバスタチンなどのスタチン系薬の重大な副作用として、横紋筋融解症やミオパチー、肝機能障害等が報告されている。


問253 解答 3

エリスロマイシンステアリン酸塩は、ピタバスタチンを肝細胞内に取り込む有機アニオントランスポーターであるOATP2を阻害する作用をもつ。よって、併用によりピタバスタチンの肝への取り込みが阻害されて血中濃度が上昇し、横紋筋融解症等の副作用が現れるおそれがある。このため、両薬物は併用注意となっている。
レボフロキサシン水和物、クリンダマイシン塩酸塩、セフカペンピボキシル塩酸塩、アジスロマイシン水和物については、ピタバスタチンカルシウム錠との相互作用は報告されていない。

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